『妖魔夜行 私は十代の蜘蛛女だった』

 最近、昔の著作を読み返しているという話は前にもしたと思う。今回は『妖魔夜行 私は十代の蜘蛛女だった』を二十数年ぶりに読み返した。いやー、これは面白いわ(笑)。

 もともと『妖魔夜行』ってホラーでシリアスな話が多かったんだけど 、この『私は十代の蜘蛛女だった』だけは別。思いっきりぶっ飛んで笑える話にしてみた。オカルト・グッズの店〈銀三角〉の怪しげな広告や、チャスティティ・ストリングの未知なる効果やら、ヒロインの穂月湧ちゃん(十六歳)が女ターザンになる話とか(笑)、河童に尻子玉を抜かれてピンチに陥る話とか、もう好き勝手にやれたなあ。ほんとに僕の好きな話ばっかりだった。
 あと、普段はできないギャグを盛り込めるのも楽しかった。「ギルガメッシュが女であるといて書いてある妖怪の本」とか「四国の中学生が捕まえてた小型UFОのガレージキット」だの「トランシルヴァニアの土の通販」だの、本当にあるんだ。もちろん、〈銀三角〉は僕の考えた名前なんだけど、ここに登場する〈巨大皇国〉というオカルト組織は実在する。〈トンデモ本の世界〉を読んでおられる人ならご存知だろう。こんなトンデモない組織が実在するということが、最高のギャグではないかと思うのだが。