女ターザン・コミック始動!

週刊コミックバンチ』(新潮社)にて、僕が原作を書いた『魔境のシャナナ』というマンガの連載がはじまった。絵は『BOYS BE…』の玉越博幸氏。



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 時は1947年、舞台はアマゾン流域。ジャングルで育った美少女シャナナが、邪悪な呪術師やら怪獣やらナチスマッドサイエンティストやらと戦うというストーリーだ。

 アメリカでは1940年代から女ターザン・コミックというのはわんさかあったが、日本にはあまりなかった。永井豪の「ビバ!女ターザン」やMEIMUの「ネオ昆虫世紀コーカサス」のような短編、石ノ森章太郎の『ワイルドキャット』や青沼貴子の『ペルシャがすき!』のように野性で育った女の子が文明社会にやってくる話ばかり。長編でなおかつ最初から最後までジャングルが舞台の女ターザンものというのは、日本ではたぶんこれが初めてのはずである。

 誕生のいきさつは昨年夏にさかのぼる。

 接触してきたのは『バンチ』の編集部の方から。玉越さんが『MM9』に惚れこんでしまって、ぜひマンガ化したいということだった(すでにヒメのイラストまで描いていた)。

 あいにく、マンガ化の企画はすでに角川の方で進んでまして……と、お断りしたのだが、向こうはそれでも僕と仕事がしたいみたいで、「それなら『MM9』以外に山本さんの原作で何か連載を」という話になってきた。

 そこで、過去に別のところに企画を提出してボツられた『機装妖精チャイカ』だとか、『詩羽のいる街』の作中作である『戦場の魔法少女』だとか、いろいろ企画を見せたのだが、どうも反応がイマイチだった。

 編集部や玉腰さんとしては、ヒメの印象が強かったので、怪獣と戦う少女がいいらしいのだ。でも、巨大化して戦うんじゃ、『MM9』といっしょになっちゃうし……。

 と、考えているうちに、ふと思いついた。

「あのー……女ターザンものはどうですか?」

 そしたらOKだって言うのよ! 女ターザンでもOKだって! まあ確かに、肌もあらわな女の子が猛獣とか怪獣と戦うシーンがいっぱい描けるわけだし。

 いやあ、言ってみるもんだね。

 たちまち玉越さんと意気投合。

「山本さん、ヒロインは何歳ぐらいがいいですか? 僕は16歳がいいんですけど」

「僕は15歳かな。黒髪か金髪かどっちがいいですか? それによってヒロインの国籍が決まるんですけど。僕は金髪の方が好きなんですが」

「どっちでもいいですよ。あと、『ナディア』のジャンみたいな感じのメガネの少年を出しましょうよ。あと、原住民の色黒の女の子も」

「いいですね、それ。いただきです」

 という具合に盛り上がってしまった。

 大阪に帰って、さっそく企画書を書きまくった。そりゃもう猛然と! だって女ターザンものは昔からずっとやりたかったのだ。

 キャラクターの設定やプロットは、A4用紙25枚の分量になった。難しいテーマなんか抜きにして、ひたすらシュミに走った。美少女の裸はもちろんのこと、怪獣、UMA、古代文明、オカルト、超科学などなど、僕の好きなネタをぶちこめるかぎりぶちこんだ。

 当然のことながら、固めシーンもある。それもほぼ毎回! 石化、水晶化、彫像化、凍結、硬直、ガラスチューブ、縮小などなど、ありとあらゆるパターンの固めを入れた。目標は「世界一固められるシーンの多いヒロイン」だ!

 それを送ったところ、しばらくしてGOサインが出たので、シナリオの執筆にかかった。

 上がってきたネームを見てびっくり。僕の書いた原作より大幅にHなシーンが増えている!

「なんかかなりHになってますけど」

 と言ったら、

コミケで買った山本さんの同人誌(『チャリス・イン・ハザード』)を読んだら、かなり過激だったもので、これぐらい過激にやっていいのかな、と思ったんですが」

 しまったあ! 僕か!? 僕のせいか!?(笑)

 自業自得か。こりゃ文句つけられんわ。

 というわけで、第一話を読まれた方、Hなシーンの7割ぐらいは玉越さんのアイデアだと思ってください(3割は僕だけど)。

 こりゃ玉越さんに合わせた方がいいのかなと思い、第2話からエロを大幅に増量したのだが、玉越さんはそれをさらに上回るエロいネームを描いてきた。なんか中年2人の妄想が増幅し合って暴走して、これからどうなることやら。

 でもねえ、玉越さんの描くシャナナがかわいくてかわいくてかわいくて。思わずハートマークつけちゃいたくなるほどですよ、この表情。

 



 戦う時のきりりとした(でも愛らしさを失わない)顔とか、すねた顔とか、にこやかな笑顔とか、みんないいんだよねえ。

 で、この娘がこれからあんな目やこんな目に遭わされるかと思うと、原作者としてはもうたまりません。

 とりあえず、「シャナナは最後まで処女であること」「処女膜さえ無事なら何をやってもいい!」という申し合わせをしてはいるんだけど。