『AERA』に載った放射線の数値(続報)

 トンデモ本大賞からこっち、つい昨日まで原稿に追われまくってて、他のことをやってる余裕がなかったんだけど、今日ようやく、「そらまめ」の園長さんと電話で話し、事情を聞くことができた。

 5月6日にグリーンピースの人たちが高価な機械を持って放射線値の測定に来たのは本当だと。

 ただ、その機械はcps(1秒あたりの粒子放出率)しかカウントできなかったらしい。

 で、ここから先がよく分からないのだが、その人たちは、

 測定されたcpsの数値をマイクロシーベルト/時に換算するのに、5.5で割ったんだと。

 はあ?

 専門家ではない園長さんに専門的な説明を求めても無理だろうと思ったので、それ以上詳しくは聞かなかったのだが、『AERA』に載った数値はすべて、機械が表示した数値を5.5で割ったものであり、現場で線量計の表示に「27.27」などと出たわけではないという。

 つまり、

 27.27――。

 線量計の表示を見て、その場にいた一同は息をのんだ。

 という『AERA』の記事は、明らかに嘘なのだ。

 9.09は0.11の逆数なので、「100倍して11で割った」という可能性も考えてたけど、11の半分の5.5だったとは思わなかった。

 試しに、『AERA』に載った数字をすべて5.5倍してみると、

0.90 → 5

1.45 → 8

1.81 → 10

2.25 → 12.4?

2.53 → 13.9?

2.72 → 15

3.63 → 20

5.45 → 30

7.27 → 40

9.09 → 50

12.72 → 70

16.36 → 90

18.18 → 100

27.27 → 150

45.45 → 250

90.90 → 500

 やっぱり2.25と2.53だけが他の数字と違う。ここだけ別の機械で測定したのかもしれない。

 この数字を見て分かるのは、この機械の性能が、1桁、もしくは「15」「150」「250」というアバウトな数字しか表示できないものであったことだ。だから有効数字はせいぜい2桁。

 それを5.5で割って、4桁の数字を出すという、初歩の初歩の大間違いをやっている。「有効数字」という概念は、確か中学1年で習うはずなんだけどなあ……? 

 あと、ネットで調べてみたところ、cpsからマイクロシーベルト/時への換算というのは、単純にはできないものらしい。「5.5で割る」という操作がどういう根拠なのかよく分からない。

 とりあえず測定値が誇張されているという疑惑は晴れたものの、誰だか知らないが中一の数学も知らない奴が雑誌に数値を発表していることは明らかになった。