『TARI TARI』面白かった

 たまには気分を変えてアニメの話なんかも。

 今期のアニメで個人的にいちばん楽しめたのは『TARI TARI』である。

公式サイト

http://taritari.jp/index.html

 まったく何の予備知識もなしに第一話を見て、「えっ、何これ!? すげー面白え!」と、一発でハマってしまった。

 魔法とか宇宙人とかの突飛な設定があるわけではない。王道とも言うべきストレートな学園青春もの。にもかかわらず、毎回、夢中になって見ていた。

 最近のアニメの部活というと、『けいおん!』みたいにいつ活動してんのかよく分からんものが多いんだけど、この番組はバカ正直なぐらいまっすぐに合唱部(時々バドミントン部)を描いていて、逆に新鮮。

 何と言っても良かったのがシナリオ。第1話の「舌打ちしない」とか「バドミントンな」とか「お前ら、私のしもべな」とか、どうってことないちょっとした日常の台詞が、いちいちいいんである。これを見ると、他のアニメの台詞がいかに説明的でわざとらしいかがよく分かる。

 監督の橋本昌和がシリーズ構成やって、脚本書いて、1話と最終話ではコンテも切ってる。これまで注目したことなかったけど、かなり才能がある人のようだ。

 1話を見て、何話か使って部員を集めて、1クールの最後に合同発表会にのぞむのかと思いきや、2話で早々と済ませちゃったのには驚き。でもって、発表会の日に思いがけないアクシデントが起きて、その逆境を乗り越えて来夏と紗羽が歌いだし、そのままエンディングに突入するという構成の妙にしびれた。

 その後も、エピソードがだいたい2話ごとに完結する構成になってるもんで、2話ごとにクライマックスが来る。それも最終回並みの感動が。

 3人のヒロインの中で、和奏だけがなかなか歌わないという構成も上手い。声が高垣彩陽だから歌ったら上手いに決まってんだから。いつ歌ってくれるかとじらされてたんだけど、6話のラストでとうとう母の死のトラウマを乗り越えて歌い出すところが、やっぱり感動の嵐。

 9〜10話のショウテンジャーの話も良かった。

 テレビの変身ヒーローへのオマージュという話はアニメでは珍しくないけど、最初はバイト代のためにヒーローショーを引き受けただけで、「適当でいいよ」とか言っていた紗羽たちが、ウィーンにひきずられてどんどん本気になっていく過程が上手い。志保さんと紗羽の母娘対決とかも爆笑。

 クライマックスでは本当に正義のヒーローになってしまう。『熱闘ヒーローガンバライジャー』の主題歌とともに、夕陽をバックに立ち上がるウィーンとか、大智の登場ポーズとか、爆笑しつつも、あまりのかっこよさに感激して、何度も繰り返し見てしまった。絵コンテ、岡村天斎か。さすがだ。

 あと、この手の学園もののアニメって、親とか教師とか、大人の存在がないがしろにされている例が多いんだけど(親がまったく登場しない作品もある)、この番組は大人たちもみんな印象的で、いいキャラばっかりなんだよねえ。志保さんとか、和奏のお父さんとか、高橋先生とか。

 特に教頭先生。「悪役っぽいけど実はいい人に違いない」と最初から思ってたけど、表のきびしい顔を保ちつつ、旧友の娘である和奏に貴重なアドバイスをする、そのツンデレっぷりにくらくら来ました。最後の方はすっかりいい人になっちゃってまあ……。

 まだ見てない人がいるかもしれないので、最終話については詳しく書かないでおく。

 意外にあっさり終わったな、という印象。でもやっぱり、教頭先生が登場するところは、伏線見え見えではあったけど感動した。「キターっ、教頭キターっ!」と、深夜にもかかわらずテレビの前でのたうち回ってましたよ。

 完成した歌「radiant melody」も良かったしね。

 なんか『まなびストレート!』の最終回を連想した。あれも好きなアニメだったけど。

 しかも!

 終了後に流れる挿入歌集CDのCM!

http://www.lantis.jp/release-item2.php?id=093d4748344a5ac86c30c7e9318d993c

 おおお、「リフレクティア」が! 「Amigo!Amigo!」が! 「goin' my way !!」が! 「熱闘ヒーローガンバライジャー」はフルと10話バージョンと両方入ってるのか! これは嬉しい! 「心の旋律(#6ED Ver.)」って、もしかして「録音スタート」「これから歌う歌は」ってところから入ってるのか?

 ちくしょー、ランティス商売上手いなあ。買うしかないじゃん。

 その他にも、今期の番組で面白かったのは『じょしらく』。

 原作を読んでたもんで、「こんな動きの少ないマンガ、どうやってアニメにするんだ? それに原作のストック少なすぎない?」と不安だったんだけど、蓋を開けてみたら、もう笑える笑える。水島監督さすがだ。

 月見の話とかクリスマスの話とかどれも面白かったんだけど、東京各所を探訪するシリーズも意外に楽しかった。ロフトプラスワンとか、実在の場所がばんばん実名で出てくるのがすごい。けっこう危険なネタにもチャレンジしてて、その危なさがまた笑える。

 あと、『ココロコネクト』も好きな作品。原作のファンなもんで、後藤龍善の声が藤原啓治で、稲葉んの声が沢城みゆきだと知った瞬間、「よっしゃ、これで勝てる!」とガッツポーズしたもんであります。

 原作に非常に忠実なアニメ化で、原作のあのシーンとかあのシーンとかが見事に映像化されていて大満足。特に10話の稲葉んがかわいくてかわいくて、もうどうしてくれよう(笑)。

 ただ、番組内容と関係ないところで起きた騒動のせいで、ネガティヴがイメージがついちゃったのが悲しい。作画スタッフや原作者には責任ないのにねえ。

 ちなみに最終話はこれから見ます。