『僕の光輝く世界』文庫化

【人気ミステリー作家絶賛!】 消失少女、突然変貌する世界、幽霊殺人事件……見えないのに視える!? 前代未聞、想像力探偵誕生! 視覚を失った男子と仮想美少女が織りなす、青春恋愛「本格」ミステリー。 魅力全開の謎-辻真先(作家) すべてが最上級-黒田研二(作家) 不思議な読み味-青柳碧人(作家) 気弱なオタク男子、光輝は進学先の高校でもいじめられ、あげくに橋から突き落とされる。搬送先の病院で絶世の美少女と運命の出会いを遂げた、と思いきや、実は既に失明してしまっていた。美少女は果たして妄想なのか実在なのか……視覚を失った少年が、想像力を駆使して奇妙な謎と格闘する不思議ミステリー。  すみません。このブログで告知するのを忘れておりました。3年前に出た『僕の光輝く世界』が文庫になりました。  内容の紹介はこちらです。 http://kokorohaitsumo15sai.la.coocan.jp/bokunohikarikagayaku.html 【人気ミステリー作家絶賛!】というコピーは誇張じゃありません。今回、何より嬉しかったのは、敬愛する辻真先先生に解説を書いていただいたことです。  そもそも、3年前に単行本が出た時、ほとんどの雑誌(ミステリ雑誌も含む)の書評から無視されてたんですよね。たぶん、僕が普段、ミステリを書いていないからでしょうけど。  ほとんど唯一の例外が、『本格ミステリー・ワールド2015』(南雲堂)というムックの「読者に勧める黄金の本格ミステリー!」というページ。そこで辻真先さんと二階堂黎人さんが二重丸をつけてくださったんです。辻先生なんて、40本以上の候補の中から、二重丸ついてたのが『僕の光輝く世界』だけなんですよ。  そもそも僕が小説家・辻真先の作品にハマったのは、10代の頃に読んだ『仮題・中学殺人事件』。今で言うメタミステリなんですけど、70年代当時、こんな趣向の小説なんて読んだことなくて、興奮したもんであります。  この後も『盗作・高校殺人事件』『改訂・受験殺人事件 』、特撮ヒーロー番組の撮影中に事件が起きる『SFドラマ殺人事件』、アニメ界を舞台にした『TVアニメ殺人事件』、自主制作特撮映画を扱った『宇宙戦艦富嶽殺人事件』などを読みふけりました。今でこそそんなオタク的な題材を扱った小説なんて珍しくもないですが、辻先生のセンスは時代をはるかに先取りしていました。  いちばん好きなのが『アリスの国の殺人』。主人公が『不思議の国のアリス』を愛するロリコンなんですが、現実世界の殺人事件と同時に、主人公の見る夢の中のファンタジー世界でも殺人事件が起きるんです。夢の中の殺人のトリックなんてどうやって解明するんだと思ってたら、ちゃんとファンタジー世界の論理で解明される! これはひっくり返りましたね。日本推理作家協会賞受賞も当然かなと。  実はこの『僕の光輝く世界』は、『アリスの国の殺人』のオマージュとして書いています。特に第4話「幽霊はわらべ歌をささやく」は、現実世界と主人公が読むミステリ小説の中で並行して殺人事件が起き、それぞれ現実の論理とミステリ世界の論理で解明されるという話。  ですから、その作品の解説を辻先生に書いていただけるなんて、本当に光栄でした。  変わった趣向のミステリが読みたいという方、ぜひお読みください。