ポメラの使い心地

 先月、話題のポメラを買った。 http://japanese.engadget.com/2008/11/09/pomera-dev/  大きさは上の写真を見ていただきたい。表示する文字のサイズは3段階に切り替えられる。3枚目の写真では、見やすいようにいちばん大きな文字で表示している。  一見、ちゃちそうに見えるキーボードだけど、意外にしっかり打てる。操作法は普通にパソコンで打つのとほとんど変わらない。マウスが無いので、コピーや移動がちょっと面倒というぐらいか。(コピーしようとして、いつもの癖で右手がマウス探してたのには、自分でも笑った)  大きさも手ごろだけど、電源ボタンを押して起動に2秒しかかからないというのは、ノートパソコンにはない利点だ。  これで打った文章はパソコンで読みこめる。接続するのも面倒な設定手順不要。USBケーブルでパソコンにつなぎ、ポメラのメニュー画面で「設定」→「PCリンク」と進むだけ。  記録できるのは、1ファイルにつき8000文字分(原稿用紙20枚分)。6ファイルまで記録できるから、最大で原稿用紙120枚分まで書けることになる。  1か月ほど使ってみての感想。  ネットでの前評判では、「容量が少ない」と文句を言っている人が多かったのだが、その点はまったく苦にならなかった。そもそも原稿用紙20枚分もいっぺんに書くことなんてないからだ。 出先でちょっと下書き代わりに使うぐらいなら十分である。どうせ後でパソコンに落として清書するんだし。 今のところ、容量が50%を超えたことは一度もない。  むしろファイル数が6というのが、ちと少なすぎる気がした。パソコンに落とした分から順次、消していかないと、すぐにファイルが足りなくなるのだ。いろんな仕事を抱えている人なら、ファイルが7以上必要な場合も多いだろう。  難読字はJISコードで打ちこまなくちゃいけないんで大変だけど、これも下書きでは空白にしておいて、清書の時に書き加えればいいだけのことだ。  何がいいって、文章を書くことに対する心理的な敷居が下がったことだ。パソコンだと起動までの時間が長いから、気楽に書きはじめることができない。机の前に座って、電源ボタンを押して、「さあ、これから書くぞ」という心構えが必要なのである。  それがポメラだと、いつでもどこでもすぐ起動させられる。いちいち仕事場に行かなくても、食卓の上でも、あるいは寝そべってても書けるのだ。これのおかげで執筆量は何パーセントか確実に上がったと思う。  先月の仕事にしても、連載『地球移動作戦』『去年はいい年になるだろう』の原稿は、半分ぐらいポメラで打った。家でざっと軽く打って、仕事場でパソコンに落とし、清書するのである。mixi日記なんかも、かなりポメラで打っている。このスタイル、癖になりそう。  ちなみに今あなたがお読みのこの文章も、ポメラで打った文章をパソコンで清書したものである。  メーカーにあれも付けろこれも付けろと要望を出している人もいるらしい。しかし、手軽にメモ感覚で打てるというのがポメラの利点なので、あまり余計な付帯機能を付けると、かえって利点を殺すことになりかねないと思う。シンプルなのが魅力なのだ。  これ以上のものを望むなら、それこそノートパソコンを買えばいいだけのことではないか?  あっ、でも国語辞典は付けてほしかったかも……。