元ネタは「シャナ」ではありませんから
この前、検索してて気がついたこと。
『魔境のシャナナ』の「シャナナ」という名前が、『灼眼のシャナ』からきてると思ってる人がいるようだ。
いや、ぜんぜん違いますから。
シャナナの名前の由来は『ジャングルの女王シーナ Sheena,Queen of The Jungle』ですから。
世界魔境美女図鑑
『シーナ』は1938年、『ジャンボ・コミックス』創刊号より登場、15年にわたって同誌に連載された(おそらく)史上初の女ターザン・コミックスである。
その人気は高く、『ジャンボ・コミックス』はずっと『シーナ』を表紙にしていたし、『カミラ』『タイガー・ガール』『プリンセス・パンサ』『ルラー』『ジュディ』『ティグラ』『ゼグラ』『リル』『タアンダ』『ケイヴ・ガール』『ローナ』『ジャン』など、多数の亜流作品を生み出した。
『シーナ』は『ジャンボ・コミックス』休刊後も、何度もリメイクされている。映像化されたことは3回。1956年にアイリッシュ・マッカラ主演でTV化、1984年にタニヤ・ロバーツ主演で映画化、2000年にジーナ・リー・ノリン主演でTV化されている。アメリカではそれぐらい有名なキャラクターなんである。
だもんで、女ターザンものをやると決めた時に、偉大なる先達『シーナ』に敬意を表し、Sheenaに似た語感で、なおかつ実際にありそうにない名前にしようと思った。文字を並べ替えたり、さんざん悩んだ末に、Shではじまってnaで終わるShananaという名前を思いついたわけである。
ちなみに、まだ本編には出てきていないが、シャナナの本名は「アイリッシュ・ロバーツ」と設定している。これもアイリッシュ・マッカラ+タニヤ・ロバーツである。
失敗したと思ったのは、マーヴル・コミックスに『Shanna The She Devil』というキャラクターがいたことを、ころっと忘れていたこと。灼眼のShanaだったら2字違いだけど、Shannaだと一字違いだ! しかし、気がついたのが連載第1回の掲載直後。今さらヒロインの名前は変えられない。
まあ、マーヴルは怒ってはこないだろうな。どうせShannaもSheenaのもじりなんだし(笑)。
さらに言うなら、Sheenaという名前にも元ネタがある。原作者のウィル・アイスナーによれば、ヘンリー・ライダー・バガードの『洞窟の女王 She』からヒントを得たのだそうだ。
つまり、
She→Sheena→Shanana
という流れになるわけである。
日本ではあまりなじみがないが、女ターザンものというのはアメリカでは綿々と描き続けられてきた歴史のあるジャンルなのだ。
最近も『Jungle Girl』というシリーズが出ているし、『Shanna』も新シリーズがスタートしている(どっちも買いました)。
上手いことは上手いんだけど、やっぱりアメコミの体力派のヒロインはどうしてもマッチョになっちゃって、あまりかわいくないのが難点かな。
シーナに似た名前の女ターザンは他にもいる。たとえば『Shandra, The Jungle Girl』というポルノ映画。10年近く前に直輸入でビデオを買った。まあ、こんなバカ映画、輸入されることはあるまいと思っていたら、いつの間にか『密林ガール』という題で日本でもDVDが出てたのにはびっくりですよ。
いや、推薦はしないよ? しませんからね。そこらの山でロケして「南米の奥地」と言い張っているような映画ですからね。脱力系のお笑いが好きな人しか楽しめないと思うよ。
他にも、1978年に放映された『Jana of The Jungle』というアニメもある。この娘はちょっとかわいい。
ジャナは不思議な力を持ったネックレスをしている。シャナナもジュジュの首輪という超古代文明の遺物を身につけていて、これが超人的な体力や治癒力をもたらしているという設定だ。
じゃあ、シャナナのヒントは『ジャナ』かというと、それも違う。ジュジュの首輪のヒントは、『仮面ライダーアマゾン』のギギの腕輪なのである。アマゾンだけに(笑)。だから最初は腕輪にするつもりだったのだが、玉越氏が首輪フェチだと知って、首輪に変更したのである。
この他にも、クトゥルフ神話、古代文明、ナチスの超科学などなど、僕の好きなネタをありったけぶちこんだ。僕がこれまで読んできたり見てきたりした様々な作品の要素がごった煮になったのが『シャナナ』なのである。
最近、昔の作品が映画でリメイクされることが多いので、そろそろ『シーナ』もリメイクして欲しいなー……とひそかに思っているのだが。