SF大会1日目:マンガの中から美女出現
SF大会1日目。
美月は八九寺真宵のコスプレ。妻の労作である。さすがにあの巨大なリュックは再現しなかったけど、後ろから見ると、ぬいぐるみの足らしきものがリュックからはみ出していたり、設定に忠実であることが分かると思う。
1日目の最初の企画は「追悼 柴野拓美」。豊田有恒氏、加納一郎氏、眉村卓氏、難波弘之氏らと同席。柴野氏の思い出を語る。
考えてみれば、加納氏も豊田氏も、僕が小学校の頃に見てた『エイトマン』や『スーパージェッター』の脚本を書いていたのだ。このメンツの中じゃ、僕なんか若造もいいところである。
「柴野さんはバタフライ効果における蝶」
「柴野さんがいなかったら、僕らはみんな、ここにいなかった」
という点を強調した。
次におじゃましたのが「TVファンタスティック」。ここ数年、他の企画と時間がかぶって、なかなか見られなかった企画。
いつも通り、池田憲章氏のトークが面白い。シービュー号の泡の出方とかを熱く語れる人はなかなかおらん。
『去年はいい年になるだろう』にもご出演いただいた松岡秀治氏のおすすめは、『WHITE COLLAR 天才詐欺師は捜査官』と『プッシング・デイジー』。僕も『WHITE COLLAR』は見てたけど、あの第1話の冒頭の数分間は確かに上手い。「ルパン3世と銭形警部がコンビを組んで犯罪を捜査する話」という要約は、言い得て妙。
池田氏の持論は、今のアメリカのTVプロデューサーは脚本家上がりの人が多く、脚本を重視するので、エピソードごとの演出家による個性というものが感じられない、というもの。それに対し、日本の特撮ドラマは演出家が重視されており、演出家によって画面に個性が出る。
だから日本の特撮ドラマの方が毎回見ていてわくわくするんだ……と池田氏は言うのだけど、当然、「『だから日本の特撮ドラマはダメだ』と言うのかと思った」とツッコまれていた(笑)。
僕も最近、日本の特撮ドラマの脚本には不満がいろいろあるもんで(苦笑)、池田氏のように演出重視・脚本軽視の考え方には同意できないなあ。まあ、脚本も演出も両方良ければ文句ないんだけど。
毎年のことながら、SF大会は一度に十いくつもの企画が同時に走っていて、どれを見るか迷う。この時間も「非実在青少年パネル」「日本SFいろいろ史」「シンケンジャーに見るチーム構築論??」「スーツアクター/スーツアクトレス中の人座談会」など、見たい企画がいろいろあったんだけど……。
16時35分から作家サイン会。
毎回、サイン会をやると古い本を持ってくる人が必ずいるんだけど、今回はソード・ワールドRPGリプレイを持ってきてた人がいた。ありがたいことです。
ちなみに美月は『ベン・トー』のファンなもので、アサウラ氏にサインをもらっていた。
その後は「チェコのレトロSF映画を見よう!」を見に行く。
1966年製作のSFコメディ『ジェシーを狙うのは誰だ?』を上映。当然、日本未公開。これが意外な拾いものだった。
http://takanodiary.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/sf-3027.html
ある女性科学者が夢を健全にする薬品を発明する。悪夢に悩まされている人にこの薬を注射すると、夢の中から不健全な要素が消えて精神が安定し、生産性が向上する……とかいう怪しげな理屈。
彼女の夫はジェシーというセクシーな美女が活躍するコミックスを読んでいて、夢の中にもジェシーが出てくる。夫が自分以外の女の夢を見ていることを知って嫉妬した女性科学者は、就寝中の夫に薬品を注射する。
ところがその薬品には、夢を実体化する力があった。ジェシーと彼女を追う2人の悪漢が現実世界に現われて大騒ぎに……というストーリー。
大笑いだったのが、薬のデモンストレーションのために、牛を実験台に使うシーン。思考を読み取る装置を眠っている牛の頭にセットすると、牛の見ている悪夢(ハエに悩まされている)がモニターに映し出されるのである。思考モニターというのはいろんな作品に出てくるが、牛の夢をモニターするなんて前代未聞だ。
ジェシーはもともとコミックスのキャラクターなもんで、現実世界でも、喋るといちいち顔の横に台詞がフキダシで出るのがおかしい。他にも、「マンホールを見張っていろ」と命じられた警官が、その後もずっとマンホールの横に突っ立ってたり、繰り返しギャグがじわじわくる。ラストの展開もむちゃくちゃで、大笑いした。
古い映画なんでテンポはややもたつくし、「ここはもっとギャグを盛りこめたのに」と思うシーンはあるが、1966年にこんな楽しい映画が社会主義政権下のチェコで作られていたと知っただけでも収穫だった。DVD化希望。
展示ホールで手作りの3D映像を見る。
赤と青のランプで影絵を作り、それを赤と青のセロハンを貼った眼鏡で見ると、影が立体的に浮き上がって見える……と、理屈だけ説明してもピンとこないかもしれないけど、実物を見ると感動する。
ニコ動で、『けいおん!!』のOPを1コマずらして左右に並べ、立体映像にした人がいたけど、それと同じような感動を覚えた。ほんとに、ちょっとした発想の勝利だよねえ。
同人誌を何冊か買う。
『ゴリラの理』(アメコミ向上委員会)は、アメコミに出てくるゴリラのキャラクターばかりを集めた同人誌。なぜゴリラ(笑)。でも、これがほんとによく調べてあるんだ。DCにおけるゴリラ・シティの設定の変遷とか、グロットとフラッシュの因縁とか、ウルトラヒューマナイトのオリジンとか、ものすごく詳しく解説されてるので感心する。ウルトラヒューマナイトって、アニメ版『ジャスティス・リーグ』のクリスマス編に出てきたキャラクターだけど、実はレックス・ルーサーより前からスーパーマンの宿敵だったんだねえ。知らなかった。
他にも、コンゴリラ、レッドゴーストのスーパーエイプ、ムッシュ・マラー、モンキーマン、サイゴー、ブレイニエイプなどなど、ゴリラ・キャラクターがいっぱい。ジャスティス・リーグが「ゴリラ化弾」を撃ちこまれて(バットマン以外)みんなゴリラになってしまう『JLAPE』というクロスオーバーまであるのだ。「ゴリラ化弾」とか「ゴリラ化フィールド・ジェネレーター」とか、単語見るだけで笑っちゃう。
どんだけゴリラ好きなのかね、アメリカ人。
もうひとつ、同じところが出していた同人誌が『2001年から来た男』。
1976年、マーヴル・コミックスが『2001年宇宙の旅』のコミカライズを出版する。ストーリーと作画は大御所ジャック・カービー。宇宙怪物が出てきたりロボットが出てきたり、映画とぜんぜん違う話になっている。
マーヴルにはマシンマンというキャラクター(宇宙から来た大学生ではないよ)がいるのだけど、実はこのマシンマン、コミックス版『2001年宇宙の旅』の8〜10巻に登場するキャラクターで、そこからスピンオフして『マシンマン』というシリーズが誕生したのだという。まさか『2001年』がマーヴル・ユニヴァースとつながってたとは。
別の同人誌を立ち読みしてたら、僕の小説をけなしているレビューを見つける。僕のある短篇が「天皇制批判」だというのだ。
アホか。
僕が天皇制を否定したり、皇族の方々を批判しているくだりがどこにある? ちゃんと読めば、あれは「皇族を人間扱いしない非人道的な連中」への批判であることは明白なのに。天皇制批判とは180度逆なんだよ。
同人誌とはいえ、こんなにも基本的読解力のない奴にレビューをやらせるってどういうことなんですかねえ?
本日の最後の企画は「自主編集映画上映会」。要するにMADですね。
面白いのも多かったんだけど、マイナーすぎて僕でさえ元ネタが分からないのも。ナチものとかロシアものとかのMADもつらいなあ。思想的にどうこうじゃなく、出オチだったり発想が安直だったりで笑えないのだ。最後の方のゲームネタは(前に見たことあるけど)面白かった。
あと、18禁じゃないけどちょっとエロいネタがあって、娘といっしょに見てたもんでひやひやしちゃいました(笑)。
ファミレスで食事してホテルに帰ったら10時回ってた。