コミケ3日目:謎の溺死者

 8時半に会場入り。 友人の中川くん(『去年はいい年になるだろう』でも、コミケのシーンで出演してもらっている)とブースで落ち合う。

 設営中にアナウンス。タクシーから降りる際に、トランクルーム内にあった運転手さんの荷物まで持って降りた人がいて、運転手さんが大変に困っているという。

 場内が爆笑になったのは言うまでもない。次回のマンレポはこのネタ多かろう。

 設営終了したので、美月を更衣室に送ってゆく。更衣室の外で待っていたら9時半になり、扉が閉められて、東−西の移動ができなくなった。

 更衣室外のエスカレーターの前で、10時の開場を迎える。開場してもなおしばらく移動制限があり、エスカレーターに乗れたのは15分ぐらい経ってから。

 ちなみに美月のコスプレは、オリジナルのネコ耳ゴスロリ娘である。

 今回の新刊は『魔境のシャナナ』の資料本『シャナナのひみつ』。

 表紙は玉越さんからいただいた画像データを使ったんだけど、色がなんかちょっと変。僕が使っているフォトショップがリミテッドエディションなもんで、CMYKモードをRGBモードに変換してデータを読みこんで編集したんだけど、それをさらに印刷する際に色がずれたのかもしれない。反省。

 売れ行きは……うーん、いまいち。もうちょっと売れてくれるかと思ったんだけど。やっぱりマイナーなマンガの資料本って、この程度の需要なのか。

 幸い、他の本の売り上げもひっくるめて、赤字にはなってないけど。

 ブースを訪ねてくださった方も大勢。『魔境のシャナナ』の担当編集さん、早川書房の編集さん、講談社メフィスト』の編集さん。

厳島神社の人」ことzoziさんには、作品を集めたDVDをいただいた。家に帰ってから見たけど、これはすごいよ。「ミクのいる風景」「厳島神社」「お祭りに行ってきた〜広島ふれあい街歩き」「大阪のかわいい超巨大アヒルを見てきたよ」「ひたすらくるくるダブルラリアット」などの名作が収録されていて、ニコ動の小さい画面で見るのとはまた違う味わいがある。いいなあ、この人の作品。好きだわ。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm11570409

 ちなみにzoziさんの新作はこんなの。毎度のことながら、架空のメカがごく自然に実景に溶けこんでいるのが素晴らしい。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm11704999

 評論系のブースを回る。今年もたくさんの同人誌はあったが、「これだ!」というお宝本はなかった気がする。

 ちょっと面白かったのが『知られざる行旅死亡人の世界』という本。身元不明の死亡者に関する官報公告を集めた本なんだけど、いきなり最初に乗っているのが、平成18年7月23日に大阪市西淀川区の河川敷で発見されたという、こんな溺死体。

> 本籍・住所・氏名不詳、年齢30〜40歳位・男性、身長157cm位・小太り、着衣黒色女性用ワンピース、緑色女性用スクール水着、茶色のタイツ、遺留金品、金色ネックレス、金色ブレスレット

「黒色女性用ワンピース」までなら、ああ女装趣味の人が酔って川に落ちたか自殺したかしたんだろうね、と思うのだが、「緑色女性用スクール水着」というのがよく分からない。どうしても淀川でスク水で泳ぎたくなって、スク水の上にワンピースを着てきたけど、服を脱ぐ前に川に転落したとか?

『CSI』や『BONES』なら謎を解き明かして面白い真相を明らかにしてくれるんだろうが、これはミステリとは違い現実なので、真相は分からないままなのである。

 他にも、官報のはずなのに日本語が崩壊している文章例がいくつも。役人だからって正しい日本語が書けるってわけでもないんだね。

 閉会直前、これ以上は売れないと見切って、撤収作業を開始。

 家に送る荷物をJP(もう「ペリカン」とは言わないのだな)の受付所に運ぶ。列に並んで待っている間、近くにいた2人組のこんな会話を耳にした。

A「○○の列に並んでたら、知らん顔して列に横入りしてきた奴がいてさ」

B「中国人か」

A「いや、日本語喋ってたけど」

B「日本語のできる中国人だろ」

A「日本人みたいに見えたけどなあ」

B「日本人みたいに見える中国人だろ」

 Bの人、けっこう本気のようだった。

 常識的に考えて、日本国内において「ルールを破る日本人の絶対数」と「ルールを破る中国人の絶対数」を比較すれば、前者の方が多いのは明白である。つまりルールを破る人間を見かけた場合、それは日本人である可能性の方が高い。それなのになぜ、「中国人か」と思ってしまうのだろうか。

『アイの物語』の詩音の言葉を借りるなら、

>「『間違ってる』というのは、倫理的に間違っているという意味ですか?」

>「そうよ」

>「私が言っているのは、論理的に間違っているということです」

 こんな単純な論理でも、理解しようとしない人間には決して理解できないのだろうな。

 大阪に帰った翌日は、午前中はぐた〜っとなってて、午後からは美月の本棚を組み立てる作業をしていた。ラノベとマンガと同人誌があふれてきたので新しい本棚が必要になったのである。

 これまで本棚を組み立てたことは何度もあるが、今回のはパーツ数がやたら多く、難易度が高くて苦労した。結局、完成に半日を費やし、またもへとへとになった。

 こういう組み立て式の本棚って、通販で買っても、女性の一人暮らしとかだと組み立てられない人がいるんじゃないかしらん? ちょっと心配だ。