新刊『14歳からのリスク学』

『14歳からのリスク学』 楽工社 1500円+税 発売中 プロローグ ロボットが人間の安全を守るには  ロボット工学三原則の難点/「正しくこわがれ」の原典/幽霊はいなくても幽霊はこわい/間違ったこわがり方をやめよう/ 第1章 1966年の大虐殺  ──迷信・宗教を信じるリスク  科学の時代によみがえった迷信/危険で無意味な風習「女性器切除」/金曜日に冷蔵庫の扉が開けられない/神社にお参りするのは合理的/など 第2章 こんにゃく入りカップゼリーの不名誉  ──新しいものを警戒する心理  8000万人に1人が死ぬから法規制?/餅の方がはるかに危険だった!/それでも餅が規制されない理由/など 第3章 韓国産ラーメンを食べるとがんになる?  ──こわい名前の化学物質、その正体は  この危険物質は何?/見出しだけしか読まない人たち/日本のかつお節は韓国では基準値違反?/大さじ2杯の塩で死ぬ/など 第4章 中国産食品買ってはいけない?  ──危険を大げさに煽る人々  『買ってはいけない』ふたたび/酒の危険はどうでもいい?/恐怖を煽る週刊誌/中国食品を追放するとかえって危険?/野菜の浅漬けの危険性/など 第5章 暴走“ロリ男”は増えてない  ──アニメやゲームに対する偏見  前代未聞のマヌケな誘拐事件/今や男が女児向けアニメを観る時代/それでも規制しようとする人たち/誰を何から守りたいのか?/など 第6章 1000年に一度の大災害  ──「めったに起きない」という錯覚  「防波堤は壊してはどうか」/「1000年に1度」は宝くじの5等と同じ/小さな小惑星の方が恐ろしい/スーパーフレアの脅威/など 第7章 福島の野菜をじゃんじゃん食べよう !  ──小さすぎるリスクを恐れる必要はない  「山本弘は御用学者」?/プルトニウムは飲んでも安全?/人間は自然の状態でも被曝している/野菜を食べてがんを予防しよう/など 第8章 原発はこわい? こわくない?  ──リスクの計算が困難であること  「信じられないほどバカなミス」が原発事故を招いた/20秒立っているだけで死ぬ/原発地球温暖化も危険/など エピローグ あなたが戦うべき「見えない敵」  「シューマイの皮がない」と青ざめる母/本当に子供のことを考えてる?/喫煙してもいい場合──妻の選択/など あとがき リスクに対する正しい感覚を持とう --------------------------  新刊です。  本当は2012年ぐらいに出す予定だったんですが、他の仕事が忙しかったもので、僕の原稿が遅れに遅れ、今年の発売になってしまいました。  人の感じている「不安」や「恐怖」の大きさは、実際の「危険」の大きさとは比例していない。小さすぎる危険を過剰に恐れたり、大きな危険を軽視したりする。迷信を信じたり、アニメやゲームの害を声高に唱えたり、聞き慣れない名前の化学物質や微量の放射性物質を恐れたりする一方、日常的に存在していて毎年多くの人の生命を奪っている危険に無頓着だったり、将来起こるかもしれない大きな災害に関心がなかったり……。  この本はそうした、「人の感じている不安の大きさ」と「実際の危険の大きさ」の落差を検証し、リスクに関する考え方を見直してみようというものです。  目次を見ると分かるように、一部はこのブログに載せた文章をベースにしています。ただし、大幅に書き直して、新しいデータをいろいろ入れています。統計もふんだんに盛りこんでいます。  もっとも、難しい内容ではありません。なるべく多くの人に読んでいただけるよう、できるだけ平易に書きました。  このタイトルは編集さんがつけたものです。似たようなタイトルの本はすでにあって、明らかに便乗なんですけどね(苦笑)。でも、提案されたタイトルを聞いたとたん、「あっ、確かにぴったりだ」と思ったので了承しました。  実際、中学生でも理解できるはずですし、もちろん、大人が読んでも分かりやすい内容だと思います。  あなたの頭の中にある「不安」「恐怖」が、本当に「危険」と釣り合っているのか、この本を読んで考えてみてください。