『幻解!超常ファイル』裏話

幻解!超常ファイル17「超能力捜査の謎&究極UFO解析バトル」

http://www4.nhk.or.jp/darkside/5/

 9日に放送したこの番組の裏側を少し。

 スタッフが仕事場に来られて、僕の出演シーンを撮影したのは5月23日なんですが、実は本編収録前、4月にスタッフの方と東京でお会いして、打ち合わせをやってます。

 向こうは僕の『超能力番組を10倍楽しむ本』を読んでおられて、あの本の内容をベースに番組を作れないかという話でした。

 ただ問題は、さすがに『FBI超能力捜査官』や『TVのチカラ』といった民放の番組名を具体的に出すことができないということ。

 どうやって番組名を出すことなく嘘を暴けるのか……と悩んだあげくに僕が提案したのが、『超能力番組を10倍楽しむ本』の中でやった実験──ある場所で選んだ10個のターゲットを、別の場所で探してみるというのを、番組内でやってみたら、というもの。

 いちおうあの実験は実際に自分でやってみたんだけど、はたして他の人が再現してうまくいくかどうかは自信がなかったんですよね。でも、スタッフがやってみたら、かなり劇的な結果になったと分かってひと安心。

 なぜ、あの手の番組の中では、デタラメな透視の結果を元にして行方不明者が見つかるのか?

 収録の際には、「あの手の番組内で見つかる行方不明者の多くは、仮名で、顔にもモザイクがかかっているから、はたして実在の人物なのか分からない」という話もしたんですが、そこはカットされました。

 収録前に、「他局の番組がインチキをやっていると番組内で断言するのはまずいんじゃないか」という話がNHKの局内で出ているという話は聞いてたんで、まあカットされるのは予想の範囲内でしたが。

 実際、『TVのチカラ』の中では、探偵の調査や一般からの情報によって行方不明者が見つかった例はあるけど、超能力者の透視が役立ったことは一度もない。

『FBI超能力捜査官』の場合、たとえば2007年の『FBI超能力捜査官 第12弾』で、「麒麟」の田村裕の行方不明の父親を見つけているけど、これもかなりのインチキ。

 マクモニーグルが透視した、田村の父親の居場所は、

・大阪のなんば駅の近く。

・近くに丸いビルと地下街がある。

・ピーチカラーの建物の3階。

 でも、実際に田村の父親が住んでいたのは、

なんば駅から10km以上離れており

・近くに丸いビルも地下街もなく

・古い木造アパートの2階

 つまりマクモニーグルの透視は見事にはずれていたんだけど、番組中では、あたかも透視によって見つかったように編集されていたんですな。

 さらにスタッフは、ベージュ色の建物を、画面上で色を変えて「ピーチカラー」に見せかけただけではなく、「ピーチ色の建物ってあれじゃないですか?」「ああーっ! あれかねー」というわざとらしい芝居までやってみせていました。

 なお、田村の父親発見の回について詳しく知りたい方は、『と学会年鑑BROWN』を参照してください。

https://www.amazon.co.jp/dp/4903063283

『幻解!超常ファイル』では、具体的に『FBI超能力捜査官』という番組名こそ出さなかったものの、『USO超能力捜査ファイル』という架空の超常番組を再現。その映像が見事に『FBI超能力捜査官』そのまんま!

 ナレーターの声や喋り方まで似せてるうえに、「あれじゃないですか、あれ?」「あれか」「クリーム色」というわざとらしい会話(これ、明らかに田村の父親の回のパロディだ!)、最後にモザイクのかかった依頼者が父親に手紙を書くところまで完璧!

 いやー、『幻解!超常ファイル』のスタッフの凝りように感心しましたわ。

 後半はUFO映像の話。

 あのロシアのUFO、僕は藤木文彦さんの分析で終わっちゃってると思うんですけどね。藤木さんの指摘の通り、目撃者が指している方向がUFOと一致していないのがおかしいし、撮影者が言っているように手持ちの携帯電話で撮影していたなら、移動するUFOを追ってパンしないって変。