ドラマ『重版出来!』最終回

火曜ドラマ 重版出来!

http://www.tbs.co.jp/juhan-shuttai/

 最近、めっきり地上波でドラマなんて観なくなってたんだけど、この番組だけは例外。毎週、欠かさず観てたし、録画もしてた。

 マンガと小説、ジャンルこそ違うけど、身につまされることが多かったから。

 人気出なくて打ち切り食らったこともあったし。

 いくら新作の企画を提出しても通らないこととか。

 後から出てきた新人にすごい勢いで追い抜かれていったことも何度もある。

 かと思えば、書店さんにプッシュしていただいて、サイン会開かせていただいたことも。

 だから登場人物たちの想いが痛いほど理解できる。

 世の中には「視聴率が裏番組に負けてた」とか言ってけなす奴がいるみたいだけど、そんなこと言ったら『宇宙戦艦ヤマト』だって裏の『ハイジ』に負けて打ち切られたんだし、『カリオストロの城』だって劇場公開時の成績はさんざんだったんだから。

 視聴率や観客動員数なんて、作品の良し悪しを計る指標にはならないんだよ。

 特に先日放送された最終話は、リアルタイムで視聴して、おおいに感動した。

#重版出来 最終回は三蔵山先生が魂の演説!エキストラ参加した漫画家も多数の大盛況【画像】

http://togetter.com/li/987572

 実は裏で努力していた五百旗頭さんのかっこ良さとか、中田伯のサイン会にアユちゃんが来るところとか、マンガ家になる夢を捨てて実家に帰った沼田が、三蔵山先生の受賞記念パーティに酒を搬入してくるところとかも良かったんだけど、やっぱり最高に盛り上がったのは三蔵山先生の受賞記念スピーチ!

 かっこ良すぎるよ、先生!

 第一話で「オワコン」と呼ばれ、落ちこんで引退も考えていた状態からの復活&再スタート宣言。熱い! 熱すぎる!

 観ながらぼろぼろ泣いちゃったよ、こんちくしょう!

 もちろんね、ドラマは現実じゃないことは分かってるんだよ。

 中田みたいに初連載でいきなり人気が爆発するなんてことは、現実になかなかない。

 三蔵山先生みたいに賞をもらえるマンガ家なんて、マンガ家全体のごくごく一部だよ。

 でも、現実にまったくないわけではない。

 夢みたいな話だけど、夢じゃない。ぎりぎり現実にある話。その微妙なバランス感覚、リアリティが見事なんである。

 特に中田の成功は、単に天性の才能ゆえじゃなく、連載を勝ち取るまでの、三蔵山先生の下でのアシスタント経験とか、心とのネームのやり取りの積み重ねとか、地味な部分がちゃんと描かれていたからこそ説得力がある。

 才能さえあれば人気が出るわけじゃないし、ベテランでも気を抜けば凋落してゆく。そんなシビアな世界。

 小説もマンガもね。

 だからこそ三蔵山先生のあの最後の大演説に心打たれちゃうんである。ああ、僕もがんばらなくちゃいけないなと。

 作家を続けてゆく勇気をもらいました。ありがとう。