『謎解き超常現象』

 このブログで紹介するのを忘れていた。

 僕も所属しているASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)という団体。その最初の本が出版されている。

 テレビ、書籍、ネットなどで世に広まっている、超常現象に関する伝説やうわさの数々を、資料を調べ、時には実験や実地検証も交えて解き明かしていこうという本。今のところ売れ行きはけっこういいらしく、早くも増刷がかかった。

 本書で取り上げられている題材は次の通り。

【第1章】 超能力の真相

1. 御船千鶴子千里眼

2. 不食の聖者、長南年恵

3. ゲイル・セントジョーン

4. ジョー・マクモニーグル

5. ナターシャ・デムキナ

6. 誰でもできる「磁石人間」

7. アポロ14号の超能力実験

【第2章】 超古代文明の真相

8. クリスタル・スカルの謎

9. バールベックの巨石

10. 伝説の大陸「アトランティス

11. ムー大陸の真相を追う

12. 与那国島海底遺跡

13. ヴォイニッチ手稿の謎

【第3章】 超自然現象、怪奇現象、UMA、陰謀論の真相

14. チェーンメール「神の手雲」

15. ウェブで話題の心霊動画

16. 心霊写真の謎を暴く

17. オオカミ少女、アマラとカマラ

18. モントーク・モンスターの正体

19. 謎の生物、スカイフィッシュ

20. 本当にいたUMA

21. 聖痕現象の真実を追う

22. 地震雲は信用できるか

23. ファフロツキーズは本物か

24. フィラデルフィア実験

25. 911陰謀論の真相

【第4章】 UFO事件の真相

26. ロズウェル事件の真相を追う

27. MJ-12文書の真実

28. オバマ大統領就任式に現れたUFO

29. メキシコシティの巨大UFO

30. WTCに現れたUFO

31. メキシコ上空に現れたUFO群

【第5章】 エイリアン事件の真相

32. 宇宙人解剖フィルムの正体

33. エイリアン・アブダクション

34. メン・イン・ブラックの正体

35. ウンモ事件

36. 衝撃映像、隕石から宇宙人が!

37. 月の裏側にいたサンタクロース

【第6章】 大予言の真相

38. ジュセリーノの予言のウソ

39. 人類滅亡を予告するマヤ暦

40. フォトン・ベルトとは何なのか?

41. ニュートン・コード

42. アインシュタインの予言

 以前に出した『トンデモ超常現象99の真相』とかぶっているネタもあるが、大半が新ネタ。僕はこのうち4、5、6、22、29、40、41を執筆している。

 最近、書店の「精神世界」の棚に行くと、「フォトン・ベルト」「2012年」「アセンション」とかいう単語の入った本が着実に増えてきていることに気づく。フォトン・ベルトなんて何の根拠もないし、誰も発見してはいないし、存在しないことははっきりしているのに、何でそんなものの実在を信じられるのかが不思議である。

参考:フォトン・ベルトは存在しない 

  国立天文台HP

ジュセリーノの予言」とかも、とっくにウソが暴かれてるのに、いまだに信じている人が多い(ちなみに、その中には自民党議員が1人、民主党議員が3人(笑))。ちょっと検索すれば正しい情報はすぐ手に入るのに、そういう人たちは調べようともしないらしい。

参考:ジュセリーノ予言の真実 

  Wikipedia「ジュセリーノ・ダ・ルース」の項 

「国際政治」の棚に行くと、911同時多発テロに関して、最近はまともな本より陰謀本の方が多いという現状。彼らの主張は、とっくに論破されている話ばかりである。

 科学的にデタラメで荒唐無稽な説という点では、911陰謀説やアポロ陰謀説も、一種のオカルトや疑似科学だと思う。(実際、オカルト信者と陰謀論信者はしばしば重なる)

参考:分解『911ボーイングを捜せ』

 本書の31で取り上げられているメキシコの空軍の撮影したUFOや、36の隕石から飛び出してくる宇宙生物なども、とっくに真相は判明しているのに、テレビではそれを隠し、本物であるかのように紹介されることが多い。

 ジョー・マクモニーグルの透視にいたっては、日本テレビのスタッフによる明白な捏造である。僕はそれを実際に現地まで行って検証し、すでに2冊の本に書いている。

参考:

 超能力、心霊、UFO、予言……どの話題についても言えることだが、超常現象については、読者に大ウソを教える本は、真実を書いた本より圧倒的に多い。

 だからこそ、このような形できちんと真相を伝えることに意義があると思う。

 当然のことながら、本書に対しても、早くも反論のメールが来た。911陰謀説信者からだ。案の定、決着済みの話題を蒸し返す内容だった。

 僕の経験から言うと、すでに何かのトンデモ説の泥沼にどっぷり浸かってしまっている人は、救い上げることは困難である。どれほど証拠を突きつけても、論理的に説得しても、彼らは決して納得しない。事実から目を背け、終わった話を蒸し返し、議論をループさせる。そういう人たちには、本書は役に立たないだろう。

 だが、まだ泥沼に足を踏み入れたばかりの人、これから足を踏み入れる人に対しては、この本はワクチンとして効果的ではないかと自負している。