『21エモン』に解説書きました

 このたび藤子・F・不二雄大全集『21エモン?』に解説を書かせていただきました。

http://www.shogakukan.co.jp/comics/detail/_isbn_9784091434371

 文庫版でカットされた話が収録されるのはもちろん、当時の『少年サンデー』のカラーグラビア記事も再録! このグラビア、『21エモン』世界の設定(1980年代に第3次世界大戦が起きかけたけど、宇宙人の干渉で回避されたとか)がいろいろ明らかになっているので、ファンにはまことに貴重な内容であります。

 まさか『マクロス』より14年も前に、「世界連邦の設立に反発して各地で反乱が起きる」なんて設定を作ってたとは思いませんでした。

 ちなみにWikipediaには時代設定が「2018年」と書いてあるけど、正しくは「2023年」です。念のため。(21エモンが生まれたのは、2010年1月1日)

 僕は子供の頃にリアルタイムで読んでいたんですが、解説を書くためにあらためて読み直してみて、思っていた以上に先進的な内容だったので驚きました。出てくる宇宙人も面白いんですが(コイケラス星人の話が最高!)、ワープ航法とか、火星のテラフォーミングとか、よくこの時代のマンガでここまで描けたもんだと感心します。

 2巻に収録予定の木星金属水素鉱山のくだり、リアルタイムで読んでて、ギャグマンガらしからぬ高温高圧高重力の木星の描写がすごく印象的でした。なんかアンダースンの「わが名はジョー」に似てるな……と思って調べてみたら、「わが名はジョー」が訳されたのは『SFマガジン』1968年9月臨時増刊号でした。藤子先生、絶対ヒントにしてる。

 他にもいちいち例を挙げだしたらキリがないんだけど、ギャグ作品なのにいちいち筋が通ってるんですよ。ほんとにSFをよく理解している人間でないと描けません、このマンガは。