『キック・アス』サイコー!

 12月18日、恒例の『映画秘宝』の2010年ベストテンの原稿締切が迫ってたもんで、テアトル梅田で観てきた。

キック・アス』公式サイト

http://kick-ass.jp/index.html

 土曜日の11:55からの回だったんだけど、なんと満席で、立ち見が出てた。今どき客が立ち見する映画館があるとは思わなかったよ。

 ストーリーはというと――

 アメコミオタクの高校生(もちろん童貞)のデイヴは、「なぜ現実世界には悪と戦うヒーローがいないのか?」と疑問を抱き、自分がヒーローになろうと決意する。

 eベイで買った緑色のスーツを身につけ、「キック・アス」という名前を考え、夜の街のパトロールを開始するデイヴ。だが、ブルース・ウェインのように体を鍛えていない悲しさ、最初に遭遇した自動車泥棒に逆襲され、重傷を負う。

 それでも懲りないデイヴ。退院するや活動を再開。一般市民を襲っていたチンピラを撃退することに成功する。その活躍がYouTubeにアップされ、たちまちキック・アスは有名人に。

 調子に乗って、同じクラスの女の子を困らせている男をこらしめに行ったキック・アス。だが、そこはギャングのアジトだった。

 彼のピンチに颯爽と現われ、ギャングどもを皆殺しにしたのは、仮面の少女ヒット・ガール。彼女は父であるビッグ・ダディに特訓を受けた、本物のクライム・ファイターだった……。

 予告編だけ観て、ダメなヒーローを描いたぬるいコメディを想像したら大間違いである。これが実に燃える映画なのだ。

 最初のうちは本当にかっこ悪いキック・アス。何の力もないくせにスーパーヒーローに憧れるなんてアホもいいとこなんだけど、ボロボロになっても立ち上がる姿が、だんだんかっこよくなってくるのだ。最後はちゃんとヒット・ガールを助けて大活躍。

 あと、やっぱりヒット・ガールが無性にかっこいい。 11歳の女の子がコスチュームを身にまとい、銃をばりばりぶっ放し、ナイフで突き刺し、ナギナタみたいな武器で敵の脚を切断し……と、華麗なアクションを披露し、悪人たちを虐殺しまくるんである。

 何これ!? 僕のための映画!?

 いやー、楽しいなあ。ツボにはまりまくったよ。

 ヒット・ガールと父親のビッグ・ダディとの親子関係が、狂ってるけど楽しい。防弾ベストが受ける衝撃を体験させるために娘を撃つビッグ・ダディ。ヒット・ガールの方は、誕生日のプレゼントにバタフライ・ナイフを父親にねだる。ネットで新兵器を購入(売ってるのかよ、あんなもん)するシーンなんて、ほのぼのしててたまらない。

 何と言っても、全編にアメコミへの愛があふれているのがいい。ビッグ・ダディとヒット・ガールのデザインが、バットマンとロビンをイメージしているのは言うまでもないけど、ラスト・カットでは「そうそう! 『スパイダーマン』ならこう!」と嬉しくなってしまった。

 笑えるシーンもいろいろあるんだけど、中でも傑作だったのは、クライマックスでヒット・ガールが敵の大ボスの根拠地に乗りこむ時にかかるBGM。ここでこの曲かよ!

 同じ日に劇場版『仮面ライダー』も観たんだけど、そっちはどうでもいい(笑)。スーパーヒーローを愛する者なら、『ライダー』を蹴ってでも『キック・アス』を観るべし。燃えること間違いない。