今月の『SFマガジン』は初音ミク特集

SFマガジン』2011年8月号は初音ミク特集です。発売日は6月25日。 http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/721108.html
特集・初音ミク  世界的な人気を得るにいたった日本発の「歌姫」初音ミクのSF的想像力に迫る。山本弘野尻抱介泉和良による小説のほか、エッセイ、インタビュウなどで構成する。 表紙イラスト:KEI(描き下ろし) [特集内容] 小説 ○「喪われた惑星の遺産」 山本 弘 ○「DIVAの揺らすカーテン」 泉 和良 ○「歌う潜水艦とピアピア動画」 野尻抱介 インタビュウ ○佐々木渉インタビュウ インタビュアー&構成:新見 直(KAI-YOU) ○内海 洋インタビュウ インタビュアー&構成:卯月 鮎前山田健一インタビュウ インタビュアー&構成:編集部 エッセイ ○「ミライのクルマ――未来派からミクへ」 飯田一史 ○「初音ミク、その越境するキャラクター的身体について」 濱野智史 ○「初音ミクを縛るのは誰?──ヴォーカロイドを巡る法律問題」 小倉秀夫 ○「しまった!〜または、ボカロ現象に、今からでも遅くない、SF大賞メディア部門賞を!」 難波弘之初音ミク・イラストレーションズ・ギャラリー bob / usi
 僕も長編『輝きの七日間』の連載を1回お休みして、ミクを題材にした短篇SFを書かせていただきました。 「もしも人類滅亡後に太陽系を訪れた異星人が金星探査機〈あかつき〉を拾ったら」  という話です。ギャグのつもりで書きはじめたら、最後は意外に感動的な話になってしまいました。  編集さんの話によれば、今号は予約が殺到しているとか。さすがミク、人気すごいです。つーか、『SFマガジン』が特集組むのが遅すぎたのでは? ミクって3年も前に星雲賞を受賞してるんですが。  僕はこの時、観客席にいました。「本日、初音ミク様はご欠席です」には笑いましたね。  初音ミクという、単なるソフトウェアを超えた特異なムーブメントには、この前年の9月、発売直後あたりから注目していました。この年のSF大会でも、野尻抱介氏やクリプトンの方を招いて、「ボーカロイドが世界を侵蝕する」と題したパネルをやったんでした。『地球移動作戦』を連載していたのもこの頃。あれから3年か。早いなあ。  なんか「流行りものに便乗するのはよろしくない」みたいなストイックなことを言う人がいるみたいなんですが、僕はSF界はもっとあざとく売ってもいいと思うんですよね。むしろ、SFファンだからこそ、こういう新しい概念に注目すべきなんじゃないのかなと。  だいたい、ミクはすでに単なる流行じゃなくなってます。これから何十年、ひょっとしたら何百年も生き残るキャラクターじゃないかと思うのです。サンタクロースやドラキュラやシャーロック・ホームズのように。  今回の小説も、そういう想いをこめて書きました。  そうそう、『地球移動作戦』のマイカの名前の由来がミクだろうと言う人がよくいるんですが、マイカの元ネタは『サイバーナイト』の人工知能MICAですので、お間違えなく。