『スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』

 面白かったーっ!

 僕だけじゃなく、僕の周囲の戦隊シリーズのファンは、軒並み高評価である。

 まあ、ストーリーはあって無いようなもんなんだけど、お祭り映画としては最高の出来と言っていい。とにかく全編、アクションまたアクションの連続で、まったく中だるみがない。

 下手にドラマ性を盛りこんで失敗するよりは、むしろそんなもんバッサリ省略した方がいい場合もあるんだよ。娯楽映画なんだから。観客を楽しませることが第一の目的なんだから。

 とは言うものの最低限のドラマ性はある。

 特に海賊と天使という最悪の組み合わせのゴーカイジャーゴセイジャーが、最初は反目しながらも、戦いの中でしだいにお互いを認めるようになり、最後は力を合わせて敵に立ち向かう……という展開は、なかなか上手い。

 あと、人生に絶望していたしょぼくれた中年男が、クライマックスで戦隊ヒーローたちを応援するシーンは、ちょっと泣けた。

 やっぱり、脚本の荒川稔久氏をはじめとして、スタッフの戦隊シリーズへの愛がこもっているのがいい。

 いつぞやの『ディケイド』の映画で歴代ライダーが勢ぞろいした時など、単に頭数を揃えただけという感が強くて、過去のヒーローへの思い入れが感じられなかった。でも、この映画は違う。過去のシリーズへのリスペクト、オマージュがぎっしり詰まっている。

 昔の役者さんが顔出しで登場するのも良かったけど、個人的には、ちらっとしか出てないドギーやシグナルマンやウルザードの声が、ちゃんとオリジナルの声優さんを使ってるのに感心した。

 冒頭のレジェンド大戦のシーンもいいんだけど、秀逸なのが、黒十字王がレンジャーキーの力を悪用して作り出した33の悪の戦隊と、ゴーカイジャーゴセイジャーが戦うシーン。これが倒しても倒しても倒しても終わらない(笑)。こんなに多かったんだな。このシーン、EDクレジット見たら、スーツアクターだけでとんでもない人数だった。

 しかも、いちいちネタがマニアックで面白い。悪のデンジマンがデンジブーメラン投げてきたり、悪のジャッカーがジャッカーコバック仕掛けてきたり。

 他にも、最初の方のシーンで、ダイナマンのキーの使い方に爆笑した。

 でも、このノリって何か既視感があるよなあ……と、ずっと思ってたんだけど、帰りの電車の中で、はたと思い当たった。

 長谷川裕一のマンガだ!

『超電磁大戦ビクトリーファイブ』とかのノリで、戦隊シリーズをマンガ化したら、こんな感じになるよね。