映画『赤×ピンク』

>東京・六本木、廃校になった小学校で毎夜繰り広げられる非合法の格闘技ショー“ガールズブラッド"。

>ここは、思い思いの衣装でコスプレした女達が肌をむき出しにぶつかり合う会員制の地下ファイトクラブ

>性同一性障害に悩む空手家・皐月は、ある日ガールズブラッドにやって来た美しい人妻、千夏と恋に落ちる。

>だが、幸せな日々を過ごす2人の前に千夏のDV夫が凶暴な仲間たちと共に現れ、千夏を強引に連れ戻そうと画策、

>ガールズブラッドの存亡の危機にまで発展する。

>皐月は千夏とガールズブラッドを取り戻すため、仲間と共に立ち向かうのだが…。

 今年の2月に公開された映画。劇場では観そこねたんたけど、この間、角川の人からDVD-BOXをいただいたんで観ることができました。ありがとうございます。

『戦隊』シリーズ、『ライダー』シリーズ、それに『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』などを手がけてきた坂本浩一監督だから、アクション・シーンがよくできてるであろうことは最初から疑ってなかったんだけど、アクション以外の部分はどうなんだろうなあ……と思いながら見てみた。

 うん、いいじゃない。

 要約すると、『ロッキー』+『カリフォルニア・ドールズ』。 もちろん『ファイト・クラブ』も入ってるけど。

 もうね、最初から最後までバトルばっかり! リングの上だけじゃなく、屋外や室内でのバトルもいろいろあって飽きさせない。

 でもって、バトルの合間にはエロ!

 シャワーシーンとかレズシーンとか何度も何度も出てくるの。主演の芳賀優里亜(『仮面ライダー555』の園田真理)なんか、登場していきなり脱いでるうえに、おっぱいだけじゃなくヘアまで堂々と見せてレズシーンを熱演してますよ。

 もうね、どんだけサービス精神旺盛な映画だよと。

(ちなみに僕が観たのはディレクターズ・カット版。劇場公開版だと少し削られてたみたい)

 とまあ、こう書いていくとアンディ・シダリスかフレッド・オーレン・レイ作品みたいなものを連想されるかもしれないが(笑)、 さすが坂本監督、アクションがスピーディで見ごたえがある。短いカット割りと緩急の使い分けでかっこよく見せるのは、やはり長年積み重ねてきたノウハウだろうな。

 でもって、女優さんたちがみんな体張ってんだわ。主役の芳賀優里亜多田あさみの対決もすごいけど、水崎綾女(『ゴーバスターズ』のエスケイプ)とかもいい動きするんだよ。最後のハイキックなんて、ため息出るよ。みんなこの映画のために、かなり練習したんだろうな。その裏の苦労を想像すると頭が下がる。

 ああ、そうか。これ、僕が好きな「バカなことに全力を傾ける話」なんだ。

 舞台となる〈ガールズブラッド〉も、何でこんな危険なことをお前ら進んでやってるんだよと、冷静に考えるとツッコミたくなるし、この映画自体、「女の子がエロいことしながら戦ったら面白いんじゃね?」という、あからさまな下心で作られてるのが見え見えなんだけど、それを単なる下心で終わらせず、全力で大真面目にやってるところに感心するのだ。

 ストーリー的には、クライマックスの展開が明らかに無理があって、もうちょっと工夫が欲しいなとは思ったんだけど(原作は読んでないけど、このへんは映画オリジナルらしい)、観てて燃えることは確か。

 やっぱり「拳と拳で分かり合う」というのをやりたかったんだろうな。

 というわけで、「美女が戦うエロい映画」を求めている人には、絶対おすすめ。