初めてRPGを知った日のこと・そして3D小説

 11月28日にやったLiveWire「 『ゴーストハンター』とグループSNEの世界」のご報告。

http://hirorin.otaden.jp/e402334.html

 特に話す内容を打ち合わせずに、即興でやったんだけど、安田さんがいっぱい喋ってくださって助かりました。 正直、『パラケルススの魔剣』書いた頃のこと、あまり覚えてないもんで。

 ちなみに第3作の『アルケリンガの魔海』には僕は噛んでないんだけど、安田氏のプロットを基に川上亮秋口ぎぐる)が執筆、それをさらに安田氏が手を加えるという合作。来年1月に発売予定だそうだ。

 おそらく出版関係者なら驚く(出版関係者でないと驚かない)と思われるのは、SNEの社員が『ソード・ワールド』とかの小説書いても、印税の9割が作者に行く、という話。つまりSNEが取るロイヤリティは印税の10%。

 普通、ありえませんよ、こんな数字。安田さんが業界の常識をよく知らずに飛びこんだってこともあるんだけど、僕も長いことSNEでしか仕事してなかったから、10%が当たり前だと思ってたよ(笑)。

 聞くところでは、50%ぐらい取るところや、もっと取るところとかもあるらしい。会社によっていろいろだけど。

 あとは3D小説の話題。グループSNEの企画で、去年、第一弾をやって、今年の7月に第二弾をやったらしい。

「らしい」というのは、恥ずかしながら、僕はリアルタイムで見ていなくて、知ったのは8月のJGC(ジャパン・ゲーム・コンベンション)だからである。

公式サイト

http://3dnovel.jp/#top

ASCIIの紹介記事

http://ascii.jp/elem/000/000/926/926193/

 この紹介動画を見ると、だいたいの雰囲気が分かる。

 ライブRPGや脱出ゲームに似てるけど、違うのはプレイヤーが日本全国に散らばっていて、協力して謎を解いてゆくということ。危機に陥るのはプレイヤー自身じゃなく、小説の登場人物を救うのが目的だということ。

 僕は後から追っかけただけだけど、凝った暗号とかを仕掛けても、プレイヤーたちの協力であっさり解かれてしまうのだ。集合知ってすごい。

 あと、プレイヤーの提案によって、作者がどんどんストーリーを変えてゆくのだそうで、このへんはPBMに近いかな。 『朝のガスパール』とかも。

 確かにこれは面白そう。大流行するかどうかは分からないけど、ハマる人間は多いだろうと思う。

 ちなみに、聞いた瞬間に僕が連想したのは、『アイの物語』の中の「宇宙をぼくの手の上に」だった。あれを書いたころはまだツイッターというものはなかったわけだけど、「みんなの協力で小説の主人公をバッドエンドから救う」というコンセプトは、だからすごく理解できるんである。

 司会の井田さんが食いついてきたのが面白かった。この人も実はSFファン。SFファンなら、これがどれほどすごい概念なのか、すぐピンとくるんだろう。

 もしこれが普及し、さらに拡張現実が取り入れられるようになったら、世界が変わる。ゲームと現実が地続きになる。フィクションと現実の境界がなくなるってことなのだ。

 すべての人間が3D小説をプレイしていて、ゲームと現実の区別がつかなくなった未来……というのを想像すると、すごいSFが書けそうな気がするんだよね。

 それで思い出したのが、1970年代の末頃、安田さんが〈SFマガジン〉誌上で、「今、アメリカでは『D&D』というゲームが流行っていて」と、初めて紹介された時のこと。

「何これ? ロールプレイング・ゲーム? よく分かんないけど、すごそうなものが出てきたぞ!」と、わくわくしたのを覚えている。

 あの時のわくわく感と同じものを感じるのだ。

 ちなみに、「どうやって儲けるんですか?」と訊ねたら、やはり関連書籍(リプレイ本とか)の販売で回収するのだという。

 すでにドワンゴが噛んでるんだけど、提携する企業がいくつも出てきたら、ゲーム内広告とかでも儲けられそうな気がするんだけどねえ。