コミケ直前情報:『ミステリー・ゾーン』徹底解説

 今年の夏コミのブースは、土曜日(13日)東パ-21b「心はいつも15才」。

 新刊は

『ミステリー・ゾーン』徹底解説

 半世紀前に作られた伝説のSF・ホラー・ファンタジー番組。メイン・ライターのロッド・サーリングはもちろん、レイ・ブラッドベリリチャード・マシスン、チャールズ・ボーモントらが脚本を手がけた傑作アンソロジー・ドラマを徹底的に解説。

 全話ストーリー・ガイド(一部を除いてネタバレなし)はもちろん、脚本家と演出家のリスト、日本での放映リスト、翻訳のある原作リスト、幻のエピソード、特撮シーン、登場する怪人・宇宙人、評論「僕らはみんなメープル通りに住んでいる」など、マニアのための1冊!

 あとがきでも愚痴ったんだけど、今、海外ドラマに関する本は日本でたくさん出ているのに、そのどれも、『ミステリー・ゾーン』について、ほんの数行しか触れてないんですよ。まあ『スタートレック』や『謎の円盤UFO』あたりに負けるのはしかたないけど、『事件記者コルチャック』や『悪魔の手ざわり』よりも扱いが小さいなんて信じられない。

 だから今の日本人、プロの作家でさえ、『世にも奇妙な物語』は知っていても、その元ネタである『ミステリー・ゾーン』は知らない。

 あんなにすごい番組だったのに!

 あんなに大きな影響与えたのに!

 それが悔しくて、いったいどういう番組だったのか、その魅力や見どころを現代に語り継ぐ同人誌を作りました。

 B5判、180ページ!

 がんばりすぎだ自分!(笑)

 だって、好きなエピソードがいっぱいあるんだもの。

 ホラーなら「誰かが何処かで間違えた」「ヒッチハイカー」「めぐりあい」「マネキン」「遠来の客」「墓」「No.22の暗示」「亡き母の招き」「二万フィートの戦慄」などなど。

 泣ける感動作なら、「過去を求めて」「弱き者の聖夜」「縄」「遠い道」……もう「遠い道」なんて、何度見てもラストで泣けちゃうんですよ。

沈黙の世界」「到着」「狂った太陽」「奇妙な奈落」あたりは、最後のすごいどんでん返しに仰天するし、逆に「みにくい顔」「合成人間の家」「生きている仮面」あたりは、オチが途中で読めるけどやっぱり衝撃的だし。

「子供の世界」なんて、原作(ジェローム・ビクスビイの「今日も上天気」)をよくぞここまで見事にアレンジしたなと感心するしかありません。クライマックスで悲鳴あげそうになりましたよ。

 あと、「疑惑」「生と死の世界」「亡霊裁判」「日本軍の洞窟」「暗闇の男」などにこめられた強烈な問題意識。今、こんな重いテーマで、なおかつ面白い話を書ける作家や脚本家が何人いるか。

 とにかく、半世紀前の番組とはいえ、とんでもなくレベルが高くて、今見ても古くない。十分すぎるほど面白いんですよ。

 こんな番組が忘れられるなんて、あってはならない──そう強く思います。

 執筆の途中、資料を調べていて、番組のトリビアもいろいろ知ったんだけど、どこまで入れるかは悩みましたね。やっぱりマニア的に見て面白いものに厳選しようと。

 たとえば演出陣。ドン・シーゲルリチャード・ドナーやジャック・スマイトが演出してたのは知ってたけど、『キャット・ピープル』や『遊星よりの物体X』や『宇宙水爆戦』の監督がいたっていうのは、恥ずかしながら、今回初めて知りました。そう言えば『宇宙水爆戦』って特撮は注目してたけど監督の名前覚えてなかった(笑)。

 下は裏表紙。この意味、分かる人なら分かりますよね?