「ハヤカワ・SF・シリーズ総解説」
〈SFマガジン〉8月号の特集は「ハヤカワ・SF・シリーズ総解説」。この前の『ハヤカワ文庫SF総解説 2000』から洩れていた作品、すなわちハヤカワ・SF・シリーズから出ていたけど早川から文庫化されていない本の解説である。
僕もジャック・ウィリアムスン『ヒューマノイド』(『去年はいい年になるだろう』のヒントになった作品)、E・E・スミス《レンズマン》シリーズ、ロバート・シェクリイ『宇宙のかけら』『人類の罠』、マレイ・ラインスター『異次元の彼方から』、エリック・フランク・ラッセル『メカニストリア』、エドモンド・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』、久野四郎『夢判断』、早川書房編集部編《SFマガジン・ベスト》の解説を書かせていただいた。
前回同様、人気作品は執筆者同士の争奪戦が激しかったらしい。ラインスターは本当は『宇宙震』を書きたかったんだけどなあ。他にも、ヘンリー・カットナー『ボロゴーヴはミムジイ』、ピエール・ブール『E=mc2』、メリル編『宇宙の妖怪たち』、コンクリン編『宇宙恐怖物語』なども、立候補していたのに取れませんでした。
ちなみに『フェッセンデンの宇宙』が僕に回ってきたのは、やっぱり『神は沈黙せず』や『翼を持つ少女』を書いてるからってことらしい。ゆずはらとしゆき氏が『18時の音楽浴』の項を書いてるのも同じ理由かも。
ちなみに早川書房が「ハヤカワ・SF・シリーズ発掘総選挙」「ハヤカワ文庫海外SFデジタル化総選挙」というのをやるのだそうで、今月号に告知が載っている。リクエストの多かった作品は復刊されるかもしれないとのこと。
僕の場合、ハヤカワ・SF・シリーズならやっぱりラインスターの『宇宙震』とカットナーの『ボロゴーヴはミムジイ』。
ハヤカワ文庫SFなら、ジェイムズ・H・シュミッツ『悪鬼の種族』とハリイ・ハリスン『テクニカラー・タイムマシン』を復刊して、ぜひ多くの人に読んでほしい。前者はもっと今風のイラストに変えて、後者はできればモンキー・パンチのイラストのままで!
あと、アンダースンの『大魔王作戦』とかも、あの時代よりむしろ、ラノベを読みなれた今の若い読者に受けるんじゃないかと思うんだけど。
http://homepage3.nifty.com/hirorin/bibliobatllebu04.html
まあ、個人的にハヤカワ文庫SFでいちばん好きなのはC・L・ムーア『暗黒神のくちづけ』なんだけど、これは多くの人に魅力を知ってほしい半面、自分だけのフェイバリットにしておきたいという想いもありまして……複雑です。