SF大会「なつこん」1日目

 コミケの報告を書こうと思ったら、SF大会のことをまだ書いてなかったのを思い出しました(笑)。もう一ヶ月も前の話になりますが、いちおうご報告を。

●2014年7月19日(土)

 午前中、と学会のT夫妻とホテルのロビーで落ち合う。特別のご厚意により、国立科学博物館つくば研究施設のバックヤードを見学させてもらえることになったのである。

 見学の前、と学会有志からの感謝状を贈られる。ものすごく大げさな文面を考えたのは作家の桐生祐狩さん。上質の紙に、重要無形文化財技術保持者の人に依頼したという達筆。 「無意味に思えることに全力を傾ける」という、と学会精神にあふれた感謝状である。

 他にも記念品の数々。と学会会員の人たちのメッセージが書かれた寄せ書き色紙。昔ながらの製本技術で造られた大学ノートや特製鉛筆、JTB旅行券、マラウイ共和国の天然マンゴー蜂蜜……などなど、心のこもった品々。僕の身勝手で飛び出しちゃったけど、みんな暖かく見送ってくださっているのが分かる。ありがたいことである。

 中でもいちばん役に立ちそうなのは、「星雲賞受賞空想科学小説家山本弘」と書かれたハンコ。さっそく翌日のサイン会で使わせていただきました。

 国立科学博物館つくば研究施設のすごいコレクションは、前に『探検バクモン』で紹介されたことがあるので、ご存じの方は多いと思う。今回はテレビでも映らなかった場所を見せていただいた。

 ただ、「ここはオフレコで」と言われた部分が多いんで、あまり詳しく書けない。この見学で、小説のネタがいくつも手に入った……ということぐらいしか。

 中には、「ええっ、こんなすごいものが!?」「これ、世界に誇れるじゃないですか!」と驚くようなものも収蔵されてるんだけど、さる事情により、一般公開はしないんだそうだ。 もったいない。

 会場に入ったら、すでに開会式がはじまっていた。茨城のローカル・ヒーロー「イバライガー」のショー。なんか瀬名秀明さんが戦闘員に拉致されてましたが(笑)。

 不手際が多かった今回のSF大会。あちこちで不満の声を聞いたが、やはり一番の問題はプログラムだろう。いつもなら企画と企画の間に30分ぐらい時間があって、その間に企画担当者は準備を行ない、参加者はディラーズルームやサイン会で時間を潰し……となってたはずなのに、今回はプログラムがぶっ続けで、休み時間がない!  いちおう、次の企画の準備のために、終了時間の15分ぐらい前に、前の企画を終了させることにはなっていたが。

 当然、例年なら休み時間にやるサイン会も、他の企画と時間がかぶっていた。僕の20日のサイン会も、お客さんがいつもより少なかったなあ。

●[077]子供たちにSF本を

>70年代から80年代にかけての小学校の図書室、ミステリと並んでSFの全集は定番としてありました。最初のSFは図書室だったという人は多いはず。でも、いま児童向けSFはほぼ消滅。この環境で次世代SF者を育てるにはどうすればいいか! 作戦会議です。

 昨年、これに参加したおかげで、『BISビブリオバトル部』のアイデアがひらめいたんである。

 今回出た話題の中で興味深かったのが、学校の図書室に納入される本はカバーがはずされるという話。これは盲点だった。つまりジュヴナイルはいくらカバーアートがしゃれてても、学校の図書室では意味がないんだそうだ。そうだったのかーっ! 『C&Y』もカバーはずしちゃったらどんな本か分かんないよ!

 ちなみに創元の〈Webミステリーズ!〉、無料なのに、会場の人は誰も読んでいなかった。僕の新作がただで読めるんだよ! 読まなきゃ損だよ!

http://www.webmysteries.jp/special/biblio-01.html

●[044]日本語版『アメージング・ストーリーズ』の世界

> 終戦直後の昭和25年、誠文堂新光社から刊行された『怪奇小説叢書 アメージング・ストーリーズ』全7巻をご存知ですか? 日本初の海外SF短編の本格的アンソロジー。そこに掲載された佳作・珍作・怪作の数々を歴史の闇から掘り起こし、楽しく紹介いたします。

 これは僕の企画。北原尚彦さんに助けていただきました。

 北原さんから聞いて驚いたのが、日本語版『アメージング・ストーリーズ』に載ってた小説が、1960年代、学習雑誌の付録のジュヴナイルに流用されていたという話。おそらく無許可。あの時代、何でもありだったんだな。

●[067]ビブリオバトル by SF文学振興会

>本を紹介するゲーム、ビブリオバトル。あなたの好きなあの本の魅力を5分間で伝えてください。誰が、どう紹介するのか。聞いて分かる本の魅力、やってわかるゲームの面白さ。あなたもすぐにバトラーデビュー。まずは、本を1冊もって、ご参加ください。

 ゲストとして招かれた企画。しかし、司会の人の手際が悪かったな。会場の人たちを班分けして個別にビブリオバトルをやらせようとしたんだけど、かんじんの班分けの方法を決めてなかったのでもたついた。最初に「発表する本のある人」と言って手を上げさせて、その人たちに番号を書いた紙を配って、「何番から何番まではこっち」と分ければ良かったのでは?

 ちなみに僕は、あすたりすくのゲーム会のビブリオバトルで使ったことのある中松まるは『すすめ!ロボットボーイ』で臨んだんだけど、同じ班の人がシャーリン・マクラムの『暗黒太陽の浮気娘』を持ってきてたもんで敗退。SF大会でそれは鉄板だわ! 勝てねーわ!(SFファンに大受けする本にもかかわらず、読んでいるSFファンが少ないからなあ)

 あと、後で他の参加者の方からも話を聞いたんだけど、どうもビブリオバトルというものの趣旨を根本的に理解していない人がいたみたい……ルールの説明、ちゃんと聞いてましたか?

 ちなみにこの日の夜の公式パーティは、8,500円も取っておきながら、食べるものが15分でなくなったと後で聞いた。SFファンの食欲を甘く見ちゃいかん。

 パーティに出ずにホテルのレストランでディナーを食べた僕は勝ち組(笑)。