ムー愛読者はと学会を経てネトウヨになる?

 ものすごくひどい文章を読んでしまった。 ムー愛読者はと学会を経てネトウヨになる? http://togetter.com/li/721401 >最近は、ムー愛読者→と学会→ネトウヨというコースの中で、と学会の人気がないので、ムー愛読者→放射脳叩き→ネトウヨ がトレンド。 >ムー愛読者→と学会→ネトウヨが、保守本流自民党でいえば、自由党系の宏池会と木曜倶楽部 >紺碧の艦隊とかの仮想戦記愛読者→陰謀論ネトウヨ が、保守傍流自民党でいえば、民主党系の清和会とか番町研 >昔からネトウヨと喧嘩しまくってたクラスタからは、3?11のあと、反原発になった人もいれば推進派も出た。しかし共通して、「放射脳を笑わない」「放射脳叩きにこそ警戒する」という立場だった。昔からネトウヨと喧嘩してた人が、「如何に、と学会がネトウヨインキュベーターか」を知ってたから。 >と学会系、スケプティック系、SF系オタクは視野が狭いのですぐ釣りに引っかかる。歴史問題でもある細かい事実が本当かどうかってことにしか関心がないから、すぐネトウヨ化する。 >山本弘菊池誠や「と学会」の連中、Twitterその他に散在する反・反原発の連中にとっての反原発運動家というのは、たぶんネット右翼在特会にとっての朝鮮人や中国人と全く同じような存在になっているんだろうね。「反原発運動家」が日本を支配しているとのトンデモ認識に陥っているんだろう。  えー、ものすごくツッコミどころだらけで、いったいどこからツッコんでいいやら(笑)。でも、こういうデマはきっぱり否定しとかなきゃいけないだろうな。  まず基本的なことから。僕はもう半年近く前、と学会辞めてます。まあ、そのへんは単なる情報不足だろうからいいとして。 ・「ムー愛読者→と学会」とか「と学会→ネトウヨなんて流れは聞いたことがない。いや、中には稀にそういう人もいるかもしれないけど、決して「トレンド」「本流」なんかじゃない。 ・そもそも僕は『トンデモ本の世界R』で『戦争論』を批判したことで、2ちゃんねるとかではサヨクとみなされているのだが(笑)。(バランスを取るために、左翼系のトンデモ本買ってはいけない』と並べたんだけど、そういう配慮には気がついてもらえなかった) ・これも前から何度も公言しているが、僕は反原発派である。原発はこれ以上増やすべきではないし、時間をかけて代替エネルギーに転換していかなくてはならないと思っている。 ・しかし同時に、差別に対して強い嫌悪も抱いている。だから福島差別を助長し、福島の人たちに迷惑をかけている放射能デマは絶対に許せない。 ・放射脳を笑わない」というのもおかしい。誰であれ、あまりにも間違ったことを主張したら、笑われるのは当たり前だ。間違ったことを擁護するのは間違いだ。繰り返すが、放射能デマというのは差別デマであることを認識すべきである。 ・2013年の『タブーすぎるトンデモ本の世界』でも、僕は在特会を批判し、嫌韓レイシストたちのデマの数々をあげつらっている。その一方で、いわゆる「放射脳」の人たちのデマも取り上げて、「嫌韓放射能は似ている」と論じている。 ・僕以外の著者も同じで、個々の原稿は右寄りだったり左寄りだったりもするが、全体としてどっちの思想にも肩入れしていないはずである。だから「と学会→ネトウヨなんてのは事実無根だ。 ・そもそもと学会というのは、本職の占い師も神主も科学者も朝日新聞の記者もいて、思想なんかばらばら。全体としてのイデオロギーなんかない。だから「と学会」とひとくくりにして論じること自体が間違いだ。 ・「ムー愛読者→放射脳叩き」というのは、もっと分からない。「放射脳」というのは科学や統計を無視して放射能を恐れる人たちであり、当然、それを批判しているのは科学や統計を重視する人たち。でも『ムー』愛読者って、まともな科学から最も遠いところにいるんじゃないのか? ・「紺碧の艦隊とかの仮想戦記愛読者→陰謀論というのも無理がある。確かに『紺碧の艦隊』は陰謀論だけど、仮想戦記のすべてがそうじゃないでしょ? ・「「反原発運動家」が日本を支配しているとのトンデモ認識に陥っている」者なんてどこにいるんだろう? むしろ反原発運動は今の日本ではマイナーで肩身が狭くなっているというのは、多くの人の共通認識ではないのかな? ・なぜ肩身が狭くなったかというと、「放射脳」の人たちがあまりにもアホな主張をばらまきまくったせい、というのが僕の印象。だからこそ、反原発運動は「放射脳」を排除しなくてはいけないと思っている。放射能デマは福島の人を苦しめるだけでなく、反原発運動にとっても有害だから。 ・「と学会系、スケプティック系、SF系オタクは視野が狭い」というのも、ひどい差別意識だ。「細かい事実が本当かどうかってことにしか関心がないから、すぐネトウヨ化する」というのも、どういう論理なんだ? さっぱり分からん。 ・これではまるで「細かい事実が本当かどうか」気にするのが悪いことのようである。もちろん、気にした方がいいに決まっている。むしろ事実がどうなのか確認しようとしない者こそ、嫌韓デマにひっかかるんじゃないのか?  今回、このtogetterで僕がショックを受けたのは、「レイシストをしばき隊」を結成した野間易通氏がkdxだったと知ったことである。恥ずかしながら、これ読むまで知らなかったのだ。著書は読んだことあるのに。  いやー、『「在日特権」の虚構』(河出書房新社)はけっこう面白い本だと思ったんだけどねえ。正体がkdxだと知って印象が変わっちゃったわ(笑)。  kdxは2009年ごろにmixiの「懐疑論者の集い-反疑似科学同盟」コミュに現われた。しょっちゅう他人の揚げ足ばかり取っていて、すごくうざかったのを覚えている。本当にどうでもいいことに難癖つけたり嘲笑したりするのだ。僕も何度もからまれた。  それも誰かが発言すると、数分とか十数分のタイムラグですかさずレスをつけてくるんである。昼も夜も。mixiに四六時中貼りついて、こまめに発言をチェックしているとしか思えない。本人は「自由業」だと主張してたけど、mixiに貼りついていられる自由業って何だよ(笑)。  その後、僕は嫌になって、「懐疑論者の集い」コミュからしばらく離れていた。何か発言するたびにkdxがいちいちしょうもないいちゃもんをつけてくるのが、鬱陶しくてしかたなかったからだ。  で、僕が何がいちばんショックだったかって、彼の「と学会系、スケプティック系、SF系オタクは視野が狭い」「すぐネトウヨ化する」という発言である。  あれだけ「懐疑論者の集い」コミュで頻繁に発言していたのに、彼は結局、僕のことも、と学会のことも、懐疑主義という概念も、まったく理解していなかったのだ。 おそらく最初から懐疑論者やオタクに対して嫌悪を抱いていて、けなしたくて乗りこんできただけだったんだろう。  彼の頭の中では、「放射能デマを叩く者=ネトウヨ」という単純な図式なんだろう。僕みたいに、反原発で反差別でありながら、放射能デマを叩くというスタンスが理解できないんだろう。  彼は在特会と戦っていながら、自分自身が差別意識を持っていることを認識していないように思える。  繰り返す。間違ったことを主張したら、批判されたり笑われたりするのは当たり前だ。右だろうと左だろうと。  だから僕は、レイシストが流す嫌韓デマも叩くけど、こういうデマも叩くよ。これからも。