「と学会」とは何だったのか?

 これまで僕の家に頻繁に訪れているケアマネの先生に、「と学会とは何のことなんでしょうか」と尋ねられて困った。これまで僕の仕事についていろいろ聞かれたのに、そういう基本的なことを説明することを忘れていた。

 いちおうは「トンデモ本を研究するための会で、僕は初代会長」だということは説明したのだが。ちなみに二代目会長は立候補する人いなかったので、今はと学会に会長はいないらしい。僕はと学会なんてどうなっても知らなかったし、自然消滅してもおかしくないと思っていたのだが。それに今はASIОSがあるし。

 でも僕のトンデモ本コレクションの最後の数年間は、けっこう面白かったな。

 たとえば『トンデモ本の世界S』や『トンデモ本の世界T』などは最近、ちょくちょく読み直すのだが、けっこうその後のASIОSの履歴とかぶるところがある。たとえば『S』には「アポロは月に行かなかった」というページがあるが、これは『ニセ科学を⒑倍楽しむ本』で新しくした。他にも『血液型でわかる相性』もやはり『S』で触れているし、『ゲーム脳の恐怖』は『T』で触れているし、ロフタス+ケッチャムの『抑圧された記憶の神話』はのちに『百鬼夜翔』の「茜色の空の記憶」という話でネタに使った。

 ああ、ただ『ニセ科学を⒑倍楽しむ本』では『水からの伝言』で藤倉珊氏のチンダル説は採用しませんでした。明らかに間違ってたし(笑)。

 

 なぜ、と学会がダメになったかは問わない。僕のせいじゃないことは、はっきり言える。僕は最後まで『と学会』を続けたいと思っていた。会の方が僕を裏切ったのだ。あるいは僕の説がもっともだったのか。僕らはトンデモ本というものを海の資源のように取り尽くしても終わりがないものだと思っていた。実際には資源は有限であり、僕らはそれを取りつくしたのだろうか。

 特に『トンデモ本の世界』シリーズの最後の数冊はがたがただった。