『地球移動作戦』文庫版印税を全額寄付します

 5月10日、『地球移動作戦』(早川書房)の文庫版が出版されます。21世紀後半から22世紀初頭にかけての時代を舞台に、迫り来る巨大天体がもたらす大災害を避けるために、人類の力を結集して地球を動かすという話です。

 内容の紹介

http://homepage3.nifty.com/hirorin/earthshift00.htm

(ご注意! これは文庫版の表紙ではありません)

 2年前に出た作品の文庫化なんですが、問題がひとつ。いや、ふたつ。

・最初の方で登場人物が放射線障害で死ぬシーンがあること。

・クライマックスで、日本を高潮と津波が襲うシーンがあること。

 2年前の作品なんで、震災に便乗したわけでも何でもないんですが、今、これで儲けるのは不謹慎なんじゃないか……と悩んだ末に、ひとつの決断を下しました。

『地球移動作戦』文庫版(上・下)の印税を、すべて東日本大震災義援金として寄付いたします。

「印税」というものをご存知ない方のために、少し解説を。

 本が出版されると、その定価(税抜き)と発行部数と「印税率」というものを掛けた金額が著者に支払われます。これが印税です。

(定価)×(発行部数)×(印税率)=(印税)

 印税率は普通、10%が相場です。オリジナル作品ではなく、マンガやアニメやゲームのノヴェライズなど、他に著作権者がいる場合は、そちらにも配分されますので、小説の作者の印税率は10%よりも小さくなります。

 基準が売り上げではなく発行部数であることに注意してください。発行部数1万部で、5000部しか売れなくても、著者には1万部分の印税が支払われます。逆に、よく売れて増刷がかかった場合、増刷のたびに印税が支払われます。

『地球移動作戦』の場合、予定では上下巻とも660円(税抜き)で、初版1万3000部(計2万6000部)です。

660円×26000部×0.1=1716000円

 となります。実際には源泉徴収が引かれるので、もうちょっと少なくなります。150万円ぐらいでしょう。

 これは初版だけの額です。売れ行きが良くて増刷がかかれば、その分、寄付する額も増えます。みなさんに買って楽しんでいただければ、その分、被災者が助かるのです。

 今年は他にも本が何冊か出る予定なので、収入はそちらでカバーしようと思っています。

 寄付する先はまだ決めていませんが、公明正大に、どこそこにいくら寄付したと、このブログで発表してゆくつもりです。

 多くの方のご賛同をいただくことに期待しております