「あなたの知らないマイナー特撮の世界#3」報告
遅くなりましたが、先月のイベント「あなたの知らないマイナー特撮の世界#3」の報告です。
http://hirorin.otaden.jp/e276111.html
今回も、鋼鉄サンボ、友野詳の両氏によるトークのおかげで、ずいぶん盛り上がりました。まあ、特撮マニアがいつもやってる雑談の延長みたいなものなんですけどね(笑)。
冒頭はハリーハウゼン追悼特別企画、『猿人ジョー・ヤング』の特撮シーンの上映。1949年の作品だから、パブリックドメインです。
けっこう未見の人が多く、ハリーハウゼンのテクニックのすごさに感心していた様子。ジョーの動きも表情も生き生きしてるんですよね。
時間の関係で省略したけど、クライマックスの孤児院の火災シーンの特撮もすごいですよ。困難な人形アニメと炎の合成に果敢に挑戦していて、まったく違和感がない。この年のアカデミー特殊効果賞受賞も当然の出来。
あと、前回言及した、「『11PM』にサンダとガイラが出た」「『スター千一夜』にゴジラとモスラとエビラが出た」という話の検証も。
図書館に行って調べたところ、『11PM』の方は1966年7月19日の放送。『サンダ対ガイラ』の公開直前の特集で、円谷英二、利光貞三も出演してました。でも僕、サンダとガイラが出たことしか覚えてない(笑)。確かちゃちいミニチュアの前で取っ組み合いを演じてました。眠い目こすって観てたなあ。
ちなみにこの頃の『11PM』の放映時間はちょっと変則的で、10時45分から15分だけ放映し、11時からいったんニュースとスポーツニュース、11時15分からまた放映……というスタイルでした。
関係ないけど、この当時の東京12チャンネル(今のテレビ東京)のプログラムには驚きますね。『工業高校講座』『テレビ映画たのしい科学』などなど、まるで教育テレビ。『外国テレビ映画ドキュメンタリー「世紀の対決」(スターリン対トロツキー)』って、なんか気になる(笑)。語り手が芥川隆行だし。
『スター千一夜』の方は1966年12月24日の放送。これは僕はチャンネル争いに負けて観られませんでした。当日の読売新聞によれば、「彼らが初めて人間の声を出したり、自己紹介したり」したのだそうです。
その少し前、12月13日の朝日新聞にも紹介記事が載ってるんですが、司会の栗原怜児が「今晩は皆さんの好きな三大怪獣をお招きしています」とあいさつすると、ゴジラが「スターだなんて照れちゃうな」と頭をかいたそうです(笑)。
ちなみに『スタ千』(当時はこう略してました)に人間以外のキャラクターがゲストで出るのはこれが最初ではなく、前の年には鉄腕アトムが出ています。 当時としてはまだ難しかったアニメ合成を使っていて、けっこう手間がかかったらしいです。
あと、1967年6月12日の朝日新聞が劇場版『サンダーバード』の紹介をしてるんだけど、「(人形の)背丈に比較して頭が大きいのは、この頭の中に電子頭脳が入っているからだという」って……おいおいおい(笑)。いや確かにリップシンクロの装置は入ってましたけどね。
他にも、面白い特撮関連の記事をいくつも発掘。同人誌のネタになりそうです。
その後は68〜70年の特撮映画・特撮ドラマの紹介。
なんか喋ってると、「特撮はすごいんだけど」というのがキーワードになってきました(笑)。そうなんだよなあ。『キャプテン・スカーレット』も『ジョー90』も『緯度0大作戦』も『マイティジャック』も特撮はいいんだけど、でも、ストーリーが……。
他にもこの時代の作品には、『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』『決戦! 南海の大怪獣』『ガメラ対大魔獣ジャイガー』『ガンマ第三号・宇宙大作戦』『昆虫大戦争』などなど、ちょっとこう、うーん……な作品が多いです。
その一方で『怪奇大作戦』『2001年宇宙の旅』『猿の惑星』などなどの名作が生まれたり、『宇宙大作戦(スター・トレック)』や『謎の円盤UFO』が日本で放映開始されてたりするんですけどね。『妖怪大戦争』『吸血鬼ゴケミドロ』もマニアの間で人気が高いですね。
ちなみに、僕のおすすめマイナー作品は『宇宙からの脱出』。特撮技術は『2001年』よりかなり落ちるけど、デビッド・ジャンセンの乗りこむリフティングボディの宇宙機XRV(X-24あたりをヒントにした架空の機体)が無性にかっこいいのと、救援ロケット発射のシーンで、グレゴリー・ペックらNASAの職員たちが「GO! GO! GO!」と連呼するシーンが熱くて感動しちゃうんですわ。
あと、すいません。『幻の大怪獣 アゴン』『怪盗ラレロ』『ジャングル・プリンス』『妖術武芸帳』『吸血髑髏船』あたりは観たことないです。
次回は7月の最終金曜の予定。いよいよ1971年からの第二次特撮ブームに突入します。話題が多すぎて、いったい何回かかるかなあ……。