盗作されました〔1〕
KADOKAWA 様
東京創元社 様
一般社団法人ビブリオバトル協会 様
いつもお世話になっております。
今回、厄介なことをお知らせしなければなりません。
KADOKAWAが運営している小説投稿サイト「カクヨム」において、東京創元社『BISビブリオバトル部』シリーズの文章を大幅に盗用した作品が、「オリジナル小説」と銘打って投稿されています。投稿されたのは昨年の9月のようですが、今年の初め、たまたま「ビブリオバトル」で検索していて見つけました。
投稿者は@ichinoseyayoiという人物。「40歳男性」となっていますので、便宜上「彼」と呼ぶことにします。
なお、僕はこの人物の本名をはじめ、個人情報を何も知らないし、詮索する気もないということを最初に明言しておきます。
ビブリオバトル部/@ichinoseyayoi
★0創作論・評論完結済 10話 2016年9月5日更新
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881698267
執筆状況完結済
エピソード10話
種類オリジナル小説
ジャンル創作論・評論
タグビブリオバトル サンダーバード グッドウィン 有川浩 山本弘 H・G・ウェルズ
総文字数61,810文字
公開日2016年9月5日 08:55
最終更新日2016年9月8日 08:08
★0創作論・評論完結済 4話 2016年9月8日更新
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881713700
ジャンルは「創作論・評論」になっていますが、小説仕立てで、引用元は明示されておらず、作者本人がつけた種類も「オリジナル小説」です。
本編中でも「ビー・アイ・エス BIS ビブリオバトル部」という名称を使用しているだけでなく、登場人物も『BISビブリオバトル部』シリーズと類似。プロットも『翼を持つ少女』をなぞっています。登場人物の台詞も、『BISビブリオバトル部』シリーズの中のものをそのまま使っている箇所や、改変して使っている箇所が多数あります。
(以下、緑字は僕の小説の一部。赤字は@ichinoseyayoiによる盗用箇所です)
「そういう奴が世の中には多いのさ」先生は唇を歪めて笑った。「自分が正義だと思い上がってる連中――“正義だから、いくら間違ったことをやっても許される”と思ってる奴がな」
「正義だから間違ったことを……?」
「ああ。デマを流したり、誰かを迫害したり、戦争を起こしたり、原爆を落としたり──明らかに間違っているのに、“正義だから許される”と思ってる連中がな……」
(中略)
いいか。世の中で最も危険な思想は、悪じゃなく、正義だ。悪には罪悪感という歯止めがあるが、正義には歯止めなんかない。だからいくらでも暴走する。過去に起きた戦争やテロや大量虐殺も、多くの場合、それが正義だと信じた連中の暴走が起こしたものだ。そして、今も世界各地でそういうことが起きている」
──『翼を持つ少女』7章
「そういう奴が世の中には多いのさ。自分が正義だと思い上がってる連中──?正義だから、いくら間違ったことをやっても許される?と思ってる奴がな」
「正義だから間違ったことを……?」
「ああ、デマを流したり、誰かを迫害したり、戦争を起こしたり、原爆を落としたり──明らかに間違っているのに、?正義だから許される?と思ってる連中がな……」
「いいか、世の中で最も危険な思想は、悪じゃなく、正義だ。悪には罪悪感という歯止めがあるが、正義には歯止めなんかない。だからいくらでも暴走する。過去に起きた戦争やテロや大量虐殺も、多くの場合、それが正義だと信じた連中の暴走が起こしたものだ。そして、今も世界各地でそういうことが起きている」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881698267/episodes/1177354054881698290
このくだり、あきれたことに、1話の中で7回もコピペされています。
ストーリーはというと、『BISビブリオバトル部』と同様、高校生のビブリオバトルを題材にしていますが、ビブリオバトルの場で、紹介される本の内容と何の関係もない政治的論争がおおっぴらに繰り広げられるというひどい代物で、現実のビブリオバトルと似ても似つかない展開になっています。
現実のビブリオバトルでは、公式ルールで「発表内容の揚げ足をとったり,批判をするようなことはせず」と定められているので、こんな展開はありえません。僕は作中で「ビブリオバトルは本を愛する者の楽しい交流の場だ。政治的プロパガンダの場じゃない」とビブリオバトル部の部長に言わせてるんですが、その精神が踏みにじられたと感じています。
他にもこうした盗用がたくさんあります。
「さて、みなさんはH・G・ウェルズという人物をご存知でしょうか?」
は?
私は意表を突かれて困惑しました。ええ、もちろんよくご存知ですけど、何か?
「SFの元祖と呼ばれている人物です。『宇宙戦争』『タイム・マシン』『透明人間』などの作品で、日本でも有名です。『宇宙戦争』はトム・クルーズ主演で映画にもなってますよね」
えーと、映画版の『宇宙戦争』について語るなら、一九五三年版についても触れないといけないのでは? あと、『タイム・マシン』や『透明人間』も映画になってますよ。
「大変に博識な人物として知られていて、潜水艦や宇宙飛行、核兵器の出現なども予言していたそうです」
あっ、それダウトです。ウェルズは潜水艦は予言してません。ジュール・ヴェルヌとごっちゃにしてませんか?
不安になってきました。「そうです」ということは、この人、ウェルズの小説を読まずに語ってるんですか?
(中略)
「『世界史概観』。タイトルの通り、四大文明の発祥から二〇世紀までの世界の歴史を解説した本です」
おや、ずいぶんまともそうな本じゃないですか。どんな過激な内容の本を出してくるかと思ってたのに、拍子抜けしちゃいました。
「ここに持ってきたのは上下巻の下巻の方ですが、一一世紀から二〇世紀にかけての歴史が解説されています。モンゴル帝国、ルネサンス、アメリカ独立戦争、フランス革命、産業革命、第一次世界大戦、国際連盟、第二次世界大戦、そして戦後の米ソの冷戦……」
ん?
変です。絶対に変。そんなこと、あるはずがないです。私、『世界史概観』という本は読んだことありませんけど、それでもこの人の言っていることがデタラメなのは分かります。
でも、謎です。なぜこの人、こんな勘違いをしてるんでしょう?
(中略)
ああ、違います違います! H・G・ウェルズはイギリス人です! そんな基本的なこと、間違えないでください!
確信しました。この人、ウェルズについて何も知りません。それなのに、偉そうに語ってるんです。
──『翼を持つ少女』7章
「さて、みなさんはサンダーバードをご存知でしょうか」
は?
私は意表を突かれて困惑しました。ええ、もちろんよくご存知ですけど、何か?
「海外で製作された少年少女向けCGアニメで、日本でも昨年NHKで放送され話題になりました」
えーと、サンダーバードについて語るなら、過去の人形劇テレビシリーズについても触れないといけないのでは?あと映画も複数製作されてますよ。
「世界中で起きた災害・事故の被害者を、国際救助隊というチームが様々な巨大メカや巨大ロボットを駆使して救助する話だったそうです」
あ、それダウトです。巨大ロボットは出てきません。巨大メカをロボットと解釈することも出来ますが、サンダーバードを巨大ロボットが出てくる話と紹介する人を私は知りません。
不安になってきました。?話だったそうです?ということは、この人、サンダーバードを知らずに語ってるんですか?
「サンダーバードについてまとめた本はいくつもあります。その代表作がこれ『きみはサンダーバードを知っているか──もう一つの地球のまもり方──』です。
おや、ずいぶんまともそうな本じゃないですか。どんな過激な内容の本を出してくるかと思ってたのに、拍子抜けしちゃいました。
「救助活動に特化した組織であるサンダーバードは武器を持たずに活動しています。武器を持って海外へ行く自衛隊とはここが大きく違います」
ん?
変です。絶対に変。なぜこの人、こんな勘違いしてるんでしょう。
(中略)
ああ、違います違います。サンダーバードはアメリカアニメじゃありません。そんな基本的なこと、間違えないで下さい。
確信しました。この人サンダーバードについて何も知りません。それなのに偉そうに語ってるんです。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881698267/episodes/1177354054881698296
ご覧のように、『世界史概観』と『サンダーバード』を入れ替えただけで、まったく同じ文章です。こんなものを「創作論・評論」だと主張しているのです。