『妖魔夜行』のいろいろ・その二

 もう少し『妖魔夜行』の話。

 これはちょくちょく話してるけど、『妖魔夜行』のキャラクター名は僕が好きだったテレビアニメ『アイドル天使ようこそようこ』をもじっている。かなたのフルネームの「井神かなた」は、タヌキだから「た」を抜いてアナグラムすると「かないみか」になる。摩耶ちゃんのフルネーム「守﨑摩耶」は、やはりアナグラムすると「山森さき」に。他にも「八環秀志」とか「水波流」とかも考えた気もするんだけど、複雑で忘れちゃった(笑)。

 それと、第一話にしか出てこない妖怪「うわべり」は、フレドリック・ブラウンの短編にヒントを受けた「ウァベリ」です。どこかにヒントがあるもんだ。僕らはいろんなことから元ネタを取っていた。

 まあ、中でもヒットは友野詳の「イブラリン」だと思う(笑)。僕は「友野はイブラリンなんて名前をどこから考えたんだろうなあ」と、ずいぶん前から疑問でした。

 他にも『悪夢ふたたび……』とか『さようなら地獄博士』とか『影の国の鈴音』とか『まぼろし模型』とか『悪魔がささやく』とか『魔獣めざめる』とか『暗き激怒の炎』とか『穢された翼』とか、どれもそうなんだけど、妖怪ものでありながら決して架空の話にはしないことを心掛けていた。いやー、読み返してしびれるわ(笑)。妖怪ものでありながらリアルな現代を描いてるんだもの。

 特に個人的に思い出深いのは、『暗き激怒の炎』。ある雑誌で知ったレイプ・チームの話にかっときて、思わず書いてしまった。僕は本当にこんな連中を許せない。しかし現実には手出しできない。だから、せめてフィクションの、小説の中ででも、こういう連中に天誅を食らわせてやりたかった。

 これは『ザ・スニーカー』に載せた短編なんだけど、女性編集者が

「最初はうちの雑誌にレイプという題材はどうかと思ったんですが、最後まで読んで納得しました」

 と言ってくださったんで、ほっとしたのを覚えている。

 これでちょっとでも、レイプが減ってくれると嬉しいのだが。