『妖魔夜行 戦慄のミレニアム』

 最近、自作の小説を読み返すということをやっている。今回は『妖魔夜行 戦慄のミレニアム』。今から二十年前に書いた作品だ。

 すごく手間のかかった作品だった。だって敵が「神」だもんね。たとえ話じゃなくて文字通りの神! これはすごい!

 もちろん下調べは綿密にやったよ。ものすごく緻密に! キリスト教に詳しい人に突っ込まれないように、細かい点までばっちりと。『福音書』のどの部分が書き換えられているかとか、『聖書に書かれたことはすべて、疑ってかかれ』というバレンタイン牧師のありがたいお説教とか、ほんとにここに書いた通りだから。あまりにも異端すぎるてんで、誰からも文句がつけられないように、慎重のうえにも慎重に書いたから。実際、第十二章「それは、からし種に似ている」のあたりは自分でも感動しちゃって、バレンタイン牧師がもし本当にいるなら思わずひれ伏したくなったぐらい(笑)。

  あと、何と言っても今回のゲストキャラであるガンチェリー(アリッサ・メイベル)というキャラの魅力が素晴らしい。

 どこからガンチェリーなんてコードネームを思いついたのか、記憶にない。でもガン(拳銃)+チェリー(処女)という名前はすごくカッコいいと思う。十三歳の少女にして妖銃シルバーバレルの使い手。妖怪ばかりのチームである〈Xヒューマーズ〉の中でただ一人の生身の人間。やたらに口は悪いけど、〈Xヒューマーズ〉のエッジ(ミューティレーター)と恋仲ではあるが、「浮気するならコンドームつけろ!」と呼び合う……。 

 いやあ、書いてて楽しかったなあ、こういうの! いや、いちおうは処女なんだけど、エッジとは「ケツの穴舐められる」という関係(笑)。

 いやあ、評判は悪かったね(笑)。でも僕はガンチェリーが好きだった。ハチャメチャだけども筋が一本通った女の子がいいんだけどね。