『ソード・ワールドRPGアドベンチャー』その二

  この前から書いている『ソード・ワールドRPGアドベンチャー』の話題。この原稿は僕の書いた作品の中でもすごい手間のかかった作品だった。だって読者参加企画ということで、僕が書いた企画はまったくない! みんな読者の書いた企画なのだ。僕はそれを読んで書き写してただけ。

 しかしこれがもうしんどかった! みんなの書いてくる企画がものすごく面白くて、創造力を刺激されるのだ。最初は単にアイデア募集だったはずなんだけど、しまいにシーンの一場面を書いてくる人や 、登場する歌の歌詞を書いてくる人、登場する魔法の呪文を書いてくる人、登場人物の見る悪夢なんかまで書いてくる人がいた。僕はその中に優れたものがあればじゃんじゃん採用していった。

 それはしまいにとてつもないものになっていった。最初は登場する六人の冒険者【ナイトブレイカーズ】の設定だけを描くつもりだったのだが、じきにそれ以外のキャラクターの設定もそれに加わった。

 描写が付け加わったのは中でも特に思い入れ深いのは、女性武術家のボウイ(本名はイーシャ・レン・ギルガメッシュ)だろう。もちろん典型的な「ボクっ子」の一人だったし、男勝り勝ち気な性格のだが、途中でマッド・ソーサラーモリガンにマジック・アイテム「令嬢の耳飾り」を付けられて、言葉遣いや性格がおしとやかになったところが傑作だったな。

 もう一人、【ナイトブレイカーズ】のメンバーの中で忘れられないのがティリーである。十六歳でたいした魔法も使えないので、パーティーの中ではそんなに目立っていなかった。世間知らずで生れてから今まで記憶がない。薬品店の娘のシャリンと恋仲になる。

 しかし、このティリーが後半、大活躍するのだ! 記憶がなくなった理由は、赤ん坊の時に『死神』という秘密結社にさらわれたためと判明、そして『死神』の計画は西部諸国をすべて飲み込むほどの恐ろしくスケールの大きなものであったことが明らかになる……

 いやあ、これが僕の当初からの計画じゃなかったなんて信じられない(笑)。すごいね!