特撮博物館に感激!
収録をした東京都現代美術館では、10月8日まで、「特撮博物館」というイベントを開催中。
テレビの収録が行われたのは休館日だったので、展示の一部しか見られなかった。だもんで、翌日、もういっぺん行ってきた。
http://www.ntv.co.jp/tokusatsu/
もうね、日本中の特撮マニア、全員来い!
展示物の数々、すごいから。感動するから。こんだけの歴史的なミニチュアが一堂に集まることなんて前代未聞だから。
だって、わだつみとかバッカス?世とかスカイハイヤーとかボーンフリー号とかラビットパンダとかポーラーボーラとかメーサー殺獣光線車とか恐獣ミサイルとかマグマ大使のロケット形態とかの実物が展示してあるんだよ!
トリプルファイターやグリーンマンやレッドマンやロックバットやライオン丸やスペクトルマンやサンダーマスクやファイヤーマンやジャンボーグ9のマスク、ゾーンファイターのマスクと上半身、メカゴジラ2や平成ガメラの着ぐるみとかも本物だよ!
残念なことにオリジナルが失われていて、レプリカも多いんだけど、撮影に使用されたモデルを忠実に再現したとかで、十分すぎるほど目の保養になる。特にMJ号の9尺モデルには圧倒される。9尺ということは2・7メートルだから、約100分の1か。よく観察すると、ピアノ線を付けるポイントも分かる。
その周囲には、ピブリダー、コンクルーダー、エキゾスカウト、バギーも展示されている。いずれも実際のモデルを元に復元されたレプリカ。特にコンクルーダーがため息が出るほど美しい。
そうそう、500円で借りられる音声ガイドの声が清川元夢なんだけど、『マイティジャック』のブースで、テーマ曲をバックにあのOPナレーションを読み上げられたのには参った。感動のあまり笑い出しそうになったよ。
言うまでもないけど、『地球最強姉妹キャンディ』に出てくる高速強襲揚陸艦〈メロンジュース〉は、MJ号のパロである。全長235メートルで、船内工場で新メカ組み立てたり。好きだったんだよね、『マイティジャック』。
特に2巻のクライマックス、ザイゴンの潜水戦艦とのバトルは、10話「爆破指令」(そう言えばこれも満田監督だったか)への徹底的なオマージュ。劇中ではあまりうまく運用されていたとは言い難いMJ号を、僕なりに大活躍させてやりたくて考えたストーリーである。
僕が12歳の時のわくわく感を、今の11〜12歳ぐらいの子供たちに伝えたかったのだ。
他にも、スカイホエールのミニチュアもかなりでかいし、ビートル、ウルトラホーク1号、マットアロー1号と2号、マットジャイロ、タックアロー、隼号やスピップ号やムーンライトSY−3を間近で見れて、もう夢のよう。ここは天国ですか。
これも言うまでもないだろうけど、『地球移動作戦』に出てくる宇宙船〈ファルケ〉と〈フェニックス〉は、隼号と鳳号のオマージュである。
しかし、ムーンライトSY−3は今みてもしびれるデザインだなあ。サンダーバード1号にインスパイアされたのかもしれないが、模倣じゃなくしっかりオリジナリティあふれるデザインになっているのが素晴らしい。東宝特撮メカの中ではいちばん好き。
モデルの一部しか現存していないものも、その部分だけが展示されている。轟天号のドリルとか、ピブリダーのアップ用の翼(ノコギリが出てくるやつ)とか。
壁に貼られた展示物にも注目しよう。
成田亨氏のデザイン画や油絵、『海底軍艦』『マイティジャック』等の設定画や図面、当時の少年雑誌の口絵、小松崎茂氏のプラモデルのボックスアートなど、貴重な資料がいっぱいだ。
特に僕が気に入ったのは、東宝特撮映画の劇中で使われた架空の新聞! ドゴラによる被害やムー帝国の攻撃やPー1号の地球帰還やモスラの卵の漂着を報じてるやつ。画面では一瞬しか映らないんで、細かいところが見えなくて悔しい思いをしてたんだけど。ここではじっくり読める。
本物の新聞の紙面を流用して、写真と見出しと文の一部、それに紙名のロゴを差し替えて作っていることが分かる。よく見るとケネディ暗殺とか三井三池炭鉱爆発事故とか朝永振一郎のノーベル賞受賞のことが書いてあるのだ。
これ欲しい! このままコピーして売ればいいのに……と思ったけど、本物の新聞を使ってるから版権的に難しいか。うーん。
短編映画『巨神兵東京に現わる』も素晴らしい。
今の時代にあえてCGを使わず、ミニチュアと合成だけで作られた特撮映画。冒頭の東京の見事な俯瞰映像からして、実はミニチュア。巨神兵のビーム攻撃でビルが吹っ飛び、東京が壊滅してゆく。その大迫力! 『妖星ゴラス』『世界大戦争』『宇宙大戦争』『日本沈没』(旧作)、海外映画『世界大洪水』『雨ぞ降る』、最近では『超強台風』などのカタストロフ・シーンが大好きな僕としては、すっかり堪能してしまった。
映画を見終わった後、隣の部屋で撮影の裏側を解説したビデオを見る。これがまた面白い。 そうやって動かしてたのか巨神兵。
実は途中で2箇所、「CGじゃないか」と思ったカットがあった。巨神兵のビームを受けたビルが融けるところと、東京の空にキノコ雲が立ちのぼるところである。ところが、これも実にローテクな手法で撮影されていたと知って驚いた。ビルの崩れ方も、これまでの映画にはなかったテクニックを使っている。
特撮というのはセンスと工夫だというのがよく分かる。
地下の「特撮美術倉庫」という展示もいい。東宝の美術倉庫を再現したという設定で、薄汚い倉庫の中に、東宝映画で使われたいろんなミニチュアが所狭しと並んでいるのだ。『妖星ゴラス』で高潮を浴びてひっくり返った機関車とか、『怪獣総進撃』で北京郊外でモスラに襲われた列車とか、『キングコング対ゴジラ』の都電とか、『青島要塞爆撃命令』のクライマックスで巨大砲弾を運んでた蒸気機関車とか。どれも普通の鉄道模型よりかなり大きい。よく残ってたもんだ。
戦車、飛行機、ヘリ、艦船類も多数。『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』のヨットとかも興味深いけど、ゴラスの実物がまだ残ってたというのには驚いた。棚の上の方に、無造作にスーパーX2が置かれてたりする。出口のところには、護国聖獣キングギドラの着ぐるみも。
2時間あれば回れるかと思ったら、ぜんぜん足りない。閉館時間が近づいたので、最後の方は駆け足になってしまった。
これはぜひ、もう一度行かねば。
今の季節、炎天下を歩くのが嫌な方には、東京駅丸の内口から東20「錦糸町駅前」行のバスに乗られることをおすすめします。美術館前に停まります。