9月5日(金)ロリコン雑誌とまたまた『詩羽』と

 この日は朝から、コアマガジンというエロ専門出版社から取材を受ける。

 いちおうどんな雑誌か見せてもらったけど、中学生や小学生の水着の写真がいっぱい載っていた。中には水着で股開いたポーズのも。すんません、正直、インタビュー承諾したのちょっぴり後悔しました(笑)。

「こういうモデルになる子ってどんな子なんですか?」と質問した。境遇は様々だが、お母さんがステージママで、娘を何とか売り出そうとしている例が多いらしい。子供の方でも、タレントやモデルになるためのステップと割り切っているという。

 いやー、あんまりこういうのはステップにはならないような気がするんですけどねえ。 どうなんだろ。

 僕が父親なら娘がこんな雑誌に載るのには猛反対するが、もちろん家庭の事情は様々だし、子供もその親も承知のうえでやってるのなら、文句つける筋合いではないのかなと思う。

 取材の内容は児童ポルノ法の改正問題について。毎号、ロリコンであることをカムアウトしている著名人にインタビューして、記事を載せているのだそうだ。

 そりゃあ、こういう業界にとっては死活問題ですからね、児ポ法改正。

 感心したのが、取材に来たライターや編集者が、ちゃんと『アイの物語』や『フェブラリー』を読んでくれていたこと。当たり前のことのようだけど、小説関係以外の取材で、ちゃんと僕の小説まで読んでくる人なんて、めったにいないよ。

「僕はヌードは好きだけどポルノはぜんぜんダメなタイプ。ポルノはほとんど買わない」

「美少女が好きだからこそ犯したくない」

「現実はもちろん、フィクションの中でもレイプを肯定したくない」

「小説を書く際には、『この娘にはどこまでやらせるか』を決めている。フェブラリーは寸止め、チャリスはとことんまで行く。その一方、絶対にエロをやらせないキャラクターもいる」

「何万人もロリコンがいれば、その中に犯罪に走る奴がコンマ何パーセントかいるのは、確率的にしかたがないこと。だからと言って、すべてのロリコンを犯罪者予備軍と考えるのは間違い」

「悪事を妄想すること自体は何も悪くない。悪いのは実行することだ」

 などと強調した。

 とどめにこう言った。

「妄想だけにしておけ。妄想にかなうものはないんだから!」

 実際、実物を見るより、勝手に妄想してる方が楽しいってこと、多いものね。数々のどうしようもない女ターザン映画のビデオを買って失望した僕が言うんだから間違いない(笑)。

 午後からは再び角川で、今度は『野性時代』の取材。昨日とほぼ同じことを言う。

 印象的だったのは、編集のNさんが、

「私も何度も読み返したけど、まだこの小説の構造を完全に解き明かしていないんですよね」

 と言ったこと。

 確かに読み返してみると、自分でもあきれるぐらい、サブテキストやらメタ構造やらマニアックなパロディやらを埋めこんでいるんである。普通に表面だけさらっと読んでもいいんだけど、再読しないと気づかないことや、マニアでないと気づかないこともあると思う。

 その後、「銀の匙」で出す児童向けSF『地球最強姉妹C&Y』の打ち合わせ。

 イラストレーターを誰にするか、これまでさんざん悩んできたんだけど、編集さんの意見で、「やっぱりこの人しかいないだろ」という人に頼むことになった。あまりにも当然すぎる選択肢なもんで、かえって今まで気がつかなかった。考えてみればぴったりかもね。

 児童書担当の女性の編集さんと、青い鳥文庫中松まるは『すすめ!ロボットボーイ』で盛り上がる。『詩羽』の中で、明日美さんが陽生におすすめした小説だ。ほんと、理想的な児童小説であるうえに、大人が読んでも面白いんだよねえ。こういう傑作がぜんぜん注目されないというのが、何とも悲しい。

 編集さんは、この作者にも原稿を依頼したいと言っている。陽を当ててあげたいですね。

 その後、今度は富士見書房へ。

 訪れたのは数年ぶりだけど、改装してすっかりきれいになっていたのにはびっくり。ここが本当にあの汚らしかった富士見ですか(笑)。おしゃれな休憩室まであるんですが。

 来年はまたライトノベルを書かせてもらうことになった。企画書をいくつも出していて、まだどれになるかは分からないけれど、どれも書いてみたいんだよね。

 一般書にシフトしている僕だが、ライトノベルを卒業したという意識は、まるでない。ライトノベルでしか書けない作品もいろいろあるしね。