『去年はいい年になるだろう』文庫化

 2年前に出版され、昨年の星雲賞日本長編部門を受賞した『去年はいい年になるだろう』(PHP出版)が文庫化されました。今月18日から書店に並ぶ予定です。  ストーリー解説はこちら。  文庫版の解説は、作中にも登場していただいた、グループSNE社長の安田均氏にお願いしました。  作中で僕が安田さんに借金を頼みに行くくだりがありまいすが、これは実際の体験が元になっています。『神は沈黙せず』を出版する直前、経済的に困窮し、安田さんに借金したことがあるのです。  今回、安田さんはその時の会話を再現しています。僕もすっかり忘れてたけど……ああ、確かに言ったよ、こういうこと! 安田さん、記憶力いいなあ。  そうそう、最初は角川書店に印税の前借りを頼んだんだけど、断られたんですよ。角川では作家に前貸しする金の限度額があるらしいんだけど、あの頃、某女性作家が一人でその枠ぎりぎりまで借りちゃってたもんで(誰のこととは言わんけど、言わなくても分かるでしょ(笑))、他の作家が借りられなくなってたんですよ。  まあ、借金はすぐに返せたから、べつにいいんですけどね。  他にも安田さん、作品の背景について、いい解説を書いてくださっています。単行本を読まれた方も、下巻の解説はぜひ書店で目を通していただきたいと思います。