『UFОはもう来ない』

 僕の最近の流行は過去の自分の書いた作品を読み返して見ることである。今回は『UFОはもう来ない』。九年前の作品だ。

 自分で読み返して笑っちゃうのは、随所に隠しギャグが潜んでいることだろう。たとえば「目撃者の話によれば、牧場の大地が二つに割れ、その中から銀色に輝く巨大なマシンが飛び出してきたという」というのは『ウルトラマンA』の挿入歌のパロディ。「傷を舐め合う道化芝居、っちゅうやつやけどな」というのは『伝説巨神イデオン』のエンディング……ついついこういうのをやっちゃうんだよね。

 別に読者に笑ってもらっおうと思ってやってるんじゃない。単に隙間があればギャグを入れたくなる僕の修正みたいなもんだ。

 しかし、ずいぶん多くのネタを入れたもんだ。特に今回はUFОネタが鬼のようにあるもんで、UFОをめぐる細かいネタがわんさか! 登場人物もUFО関係者のもじりだったりする。たとえば主人公のUFО番組のディレクターが大迫は矢追純一。ヒロイン木縞千里の祖父の木縞一利は……といったように、元ネタが誰かが分かるように書いている。出てくるUFО関係の前本とかにしても、多くが実際にあるもの。読んだ人にしてみれば、冗談のように思えるかもしれないけど、実際にある本が大半なのだ。

 だからDSIのようなカルト教団は本当にあるのだし、みんなはきちんと見張らないとどんな詐欺事件にあうか分からないのだ。たぶんオウム真理教事件のようなことはまた日本で起きるだろうから。