作家の日常

クリプトムネジアの恐怖・3

そこで先の筒井康隆氏の文章だ。実はあの文章には先がある。 > SFをはじめて書くきみが、やっと見つけたアイデア――そんなものは、とっくに、どこかのプロ作家が考えだし、書いてしまっているに、きまっているのだ。しかも、ずっとおもしろく、ずっとうまい…

クリプトムネジアの恐怖・2

では、栗本氏は「午後の恐竜」を読んだことがなく、まったく偶然に同じアイデアを思いついたのだろうか? どうもそうではないらしい。 というのも、「走馬灯」が収録された短編集『さらしなにっき』(ハヤカワ文庫・1994)で、作者自身がこんな解説を書いて…

クリプトムネジアの恐怖・1

今回は、大半の人にとっては「恐怖」じゃないかもしれないけど、作家にとっては恐怖の現象を紹介したい。それは「クリプトムネジア」。 まず、これを読んでいただきたい。ネットで検索していて、偶然ヒットした、2013年のニュースである。 栗本薫の短編小説…

平井チルドレンに残された大きな宿題

前にこのブログで、平井和正・桑田次郎『エリート』のすごさについて語った。 http://hirorin.otaden.jp/e271.html 平井・桑田コンビは、『8マン』や『超犬リープ』でも有名だが、僕が好きな作品のひとつは、『デスハンター』である。〈週刊ぼくらマガジン…

ツイッターはじめました。

先日からツイッターをはじめてます。 何で今頃? もうとっくにみんなやってるのに? と疑問に思われる方もおられるでしょうけど、僕はツイッターのどこが面白いのか、よく分からなかったんですよ。 大事件に遭遇したから急いで報告する……というなら分かる。 …

ライトノベルをめぐる仮説いろいろ

最近、togetterで取り上げられた話題を中心に。 ●最近の男性向けラノベに女性主人公が少ない理由 http://togetter.com/li/728375 コメント欄ではこんな意見がある。 >男性と女性はなんだかんだいって思考回路が大きく異る。ので文章で全部想像しないといけな…

SF大会「なつこん」2日目

●2014年7月20日(日) ホテルの部屋で『トッキュウジャー』と『鎧武』と『プリキュア』を観てから、チェックアウトして会場へ。 ●[028]Kindle Direct Publishingの真実を語る部屋 > 昨年の大会で好評を博した企画が今年もやってきます。KDPで電子書籍の…

SF大会「なつこん」1日目

コミケの報告を書こうと思ったら、SF大会のことをまだ書いてなかったのを思い出しました(笑)。もう一ヶ月も前の話になりますが、いちおうご報告を。 ●2014年7月19日(土) 午前中、と学会のT夫妻とホテルのロビーで落ち合う。特別のご厚意により、国立科学博…

「アルジャーノンに花束を」は駄作になるところだった!

今月号の〈SFマガジン〉はダニエル・キイス追悼特集。キイスをめぐるいろいろな記事が載ってるんだけど、中でも興味深かったのは、長編版『アルジャーノンに花束を』(早川書房)の訳者の小尾芙佐さんが紹介している話。最初に中編版の「アルジャーノンに花…

『アオイホノオ』のリアリティ

岡田斗司夫解説ツィートまとめ「アオイホノオ第3話」 http://togetter.com/li/700950 >監督に出した感想メール > 見ていてもう本当にモユルにイライラしました(笑) >笑いながら、ダメなクリエイター予備軍だった自分を思い出して、もう痛くて痛くて。 >その…

多重カギカッコや擬音をめぐる話

あっ、僕も書こうと思ってたら、友野に先越されちゃった。 多重カギ括弧は20年以上前から存在していた〜友野詳氏の回想録〜 http://togetter.com/li/687745 きっかけはこういうのだった。 ラノベでカギ括弧を重ねて使うのはズルなのか技法なのか http://toge…

フィクションにおける嘘はどこまで許される?(後編)

ただし、フィクションならどんなデタラメでも許されるわけではない。 慎重にならなくてはいけないのは、扱う対象が実在の人物や団体である場合だ。 「1人でも不快に思う人がいるなら、その言葉を使うのを控えるべきだと思うんです」というのは明らかに非現実…

フィクションにおける嘘はどこまで許される?(前編)

『美味しんぼ』問題に関連して。 僕が今、ハマってるマンガに、森薫『乙嫁語り』がある。 前から存在は知ってたけど、読んだことがなかった。少し前に、ある番組で紹介されていて興味を持ったもんで、本屋に行って買ってきた。 とてつもないマンガだな、おい…