表現規制

「インディアナポリス」問題:部落解放同盟の見解

最後に、『差別用語の基礎知識'99』に収録された、「差別語問題についてのわれわれの見解」という文章を紹介しておこう。これは部落解放同盟中央本部が1975年9月に発表したものである。 実はこの当時、日本共産党と部落解放同盟は「差別語」の扱いをめぐって…

「インディアナポリス」問題:「差別語」はなぜ生まれたか

そもそもなぜ「差別語規制」「禁句集」なんてものが生まれたのか。その歴史的経緯を知らない人が多いようなので、解説しておく。 1970年代まで、マスコミには言葉の規制なんてなかった。 僕がよく例に挙げるのは、『ウルトラマン』の第2話、これからバルタン…

「インディアナポリス」問題:朝日新聞の言い換え集

大手マスコミには必ず「言い換え集」「禁句集」というものが存在する。 高木正幸『差別用語の基礎知識'99』(土曜美術社出版販売)という本には、「マスコミの言い換え」の例として、朝日新聞の「取り決め集」1994年版が収録されている。 内容を見てみると――…

「インディアナポリス」問題:クトゥルフ関係

僕以外の例も挙げておこう。 クトゥルフ関係の著作が何冊もある森瀬繚さんのツイッターより。『ゲームシナリオのためのクトゥルー神話事典』(ソフトバンククリエイティブ)の裏話。 http://togetter.com/li/588541 >インディアンについては、まあ先住民族で…

「インディアナポリス」問題:『神は沈黙せず』の場合

今回のような悶着が起きるのは、これが最初ではない。というか、小説家なんてやってると、しょっちゅうぶち当たる問題なんである。 これまで体験したいちばん笑える例は、2006年10月、角川書店から『神は沈黙せず』の文庫版を出した時のことである。当時のmi…

「インディアナポリス」問題:編集者の見解

先日の「インディアナポリス」問題について、当の創土社の編集者からコメントが出ていた。 http://cthulhu8soudosha.blog.fc2.com/blog-entry-28.html >ある博物館に入ろうとして受付で >「インディアンについての展示がありますか?」と聞いたら >入場を断…

「インディアナポリス」は差別語か?

先日発売された創土社の『超時間の闇』だが、その中に収録された僕の原稿について、ちょっとしたトラブルがあったことを報告しておきたい。 ゲラチェックも完了して編集部に返送した後、10月17日になって、編集者から電話がかかってきた。「一箇所直してほし…

続・ヘドが出るような思想であっても

すでに旧聞に属するかもしれないが、『はだしのゲン』閉架騒動について触れておきたい。 なんかこれを『風立ちぬ』に対する禁煙学会の抗議と同種のもの――単なる「良識」派による表現規制だと思っている人が多いようなんだけど、荻上チキ氏によれば、ぜんぜん…

SF大会レポート3:表現規制問題2013

SF大会で出演したパネルのひとつがこれ。 ●表現規制問題2013「アレとかコレとかが違法だなんて……やっぱ、おかしくない?」 真っ先に話題になったのは、先日の、CGで児童ポルノを作って売ってた奴が逮捕されたというニュース。 「児童ポルノCG販売で逮捕…

『非実在少女のるてちゃん』観てきた

先日紹介した『非実在少女のるてちゃん』を観てきた。 面白かった! 『朝まで生ゴヅラ』も面白かったけど、あれの数倍、笑えた。展開がものすごくスピーディで、ダレる間がない。素早い場面転換(役者がくるっと回るだけで場面が変わってる)そのものがギャ…

なぜ小説は問題にされないのか?

「じゃあ、中には通り魔や人殺しもいるのかしら?」淀美豆さんが気味悪そうに言います。 「そりゃあ当然、いるでしょう」私はタコ焼きパンをかじりながら解説しました。「今の日本では、年間千二百〜千三百件の殺人事件が起きています。日本人の十万人に一人…

石原さん、『親は知らない』にはそんなこと書いてありません!

今、一部で大反響を呼んでいるこの記事なのだが、 石原都知事 小学生が売春で1000万円稼ぐ日本人を嘆く http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110216-00000006-pseven-pol > 読売新聞が出した『親は知らない』という本によれば、携帯を使って売春する…

石原慎太郎『スパルタ教育』より

12月6日(月)、中野ZERO小ホールで開かれた「『非実在青少年規制』改メ『非実在犯罪規制』へ、都条例改正案の問題点は払拭されたのか?」というイベントに出席してきた。 たいして宣伝をしたわけでもないのに、開場前から中野ZEROの前は長蛇の列。…

ヘドが出るような思想であっても

31日のエントリを読み直していて、思い出したことを補足。 > あるいは、ネットでベストセラーになったコミック『サンバーン』の作者、三崎純へのインタビューという話もあった。参考のために読んでみた私は、すぐに編集者に電話をかけ、「この仕事は別の人に…

「目に見える形で反論を提示する」:Q&A

前回、前々回のエントリに多数のコメントをいただきました。多忙のため、すべてのコメントにレスを返せないのですが、とりあえず、みなさんの提起された疑問や質問にお答えしたいと思います。 >ただ、どうしても納得いかないのは規制推進派の方々は何故、多…

「目に見える形で反論を提示する」:補足

前回、書いた文章について、誤解を招きそうな点があるので、補足したい。 僕は「表現規制と犯罪の発生の間に因果関係がある」とか「規制すれば必ず犯罪が増える」とは主張しない。文中でも述べたが、相関関係があっても因果関係のない例はいくらでもあるから…

「非実在青少年」規制:目に見える形で反論を提示する

「確かに。マンガ家にとっては死活問題ですよね」私はうなずいた。「『ドラえもん』、どうすんですかね。しずかちゃんの入浴シーンのある話、みんな欠番にするんですか?」 「修正してパンツ穿かせるとか?」 「『エスパー魔美』も発禁ですよね」 「それは悲…

「非実在青少年」規制:反対集会に行ってきた

(頭がおかしいとは言った。でも、「悪い」なんて言ってない) (え……?) (他人と違うこと、変わったことを考えるのは、おかしいことだけど、悪いことじゃない。そうだろ? 頭がおかしくなった奴が悪いことをすれば、それは悪いことだ。でも、悪いことをし…

8日(金)それは抗議されるのは当たり前

この日は2時より、東京駅の近くの店で、『コミックバンチ』の編集さんとマンガ家の玉越博幸氏の3人で、『魔境のシャナナ』の今後の展開を話し合う。 「大バカなことを全力でやる」というのがこのマンガのコンセプトなのだが、打ち合わせも真剣である。アン…