最近読んだ本

星新一『きまぐれ星からの伝言』

こちらの本も紹介しておきますね。 --------------------------------- 星新一『きまぐれ星からの伝言』(徳間書店) 徳間書店 1944円 誰もが楽しめる小説を書き続け、その発想力がいまだ読者に生きつづけている作家・星新一。今年2016年は、1926年9月6日に…

『六花の勇者』で考えたこと

注・ネタバレはありません。 今年夏のアニメで、個人的にいちばん面白かったのが『六花の勇者』。 古来より、魔神が復活する時に現われるという伝説の6人の勇者。選ばれた者は身体のどこかに六花の紋様が浮かび上がる。 また魔神復活の時が迫り、新たに勇者…

ビブリオバトル・チャンプ本『ゲームウォーズ』

先月26日のLiveWire「ビブリオバトルをやってみよう」は成功でした。応援を頼んだ鋼鉄サンボくんや、阪大の菊池誠先生、神戸大学の学生さんらの協力もあり、ビブリオバトルの実演が盛り上がりました。 紹介されたのは次の4冊。 小田雅弘『模型歳時記』(トイ…

『ガンダムビルドファイターズ マニアックス』

『ガンダムビルドファイターズ マニアックス』 昨日、amazonから届いた。『ガンダムビルドファイターズ』のムック本。 しかし……。 1日じゃとても読みきれねーっ! 何このボリュームと密度。 エピソード紹介は、各エピソードにつき2ページ。フルカラーで、も…

原田実『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統』(星海社新書)

これも著者の原田氏よりの献本。ありがとうございます。 公共広告機構のCMで使われ、最近では学校教育や社員研修でも使われるようになっている「江戸しぐさ」。 原田氏はそれがいかに歴史的にデタラメかというだけでなく、それがどうして生まれ、拡散して…

『これが基本だ!リージョン・オブ・スーパーヒーローズ』

アメコミ情報誌SleepWalker#18 『これが基本だ!リージョン・オブ・スーパーヒーローズ』(アメコミ向上委員会) SF大会で買った同人誌。アメコミ向上委員会の同人誌はよく買ってるけど、資料的価値は高い。特に昔のアメコミのプロット、現在までつながる…

レノア・ブレッソン『世にも不思議な物語』(扶桑社ミステリー )

こちらは編訳者の尾之上浩司氏から献本をいただきました。感謝いたします。 1959年から61年までアメリカで放映されていた、超常現象を題材にしたアンソロジー番組『ONE STEP BEYOND』。日本でも日本テレビ系列で『ワンステップ・ビヨンド』『世にも不思議な…

辻真先『未来S高校航時部レポート TERA小屋探偵団』(講談社)

ここ数ヶ月に読んだ本や同人誌、視聴したDVDの中から、特に面白いと思ったもの、印象に残ったものをいくつかまとめて紹介します。 >江戸の長屋で密室殺人事件が発生! 事件現場で住人たちが目撃したのは、天翔ける巨大な白猫だった……。不可解な事件は続き、…

『NHK 幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー』

『NHK 幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー』 編著者 NHK「幻解!超常ファイル」制作班 発行 NHK出版 2014年7月5日発行 1100円+税 NHKの同題の番組の書籍化です。僕も取材受けた一人なんで送られてきました。ノストラダムスについて話してます。…

日下一郎『“世界最後の魔境"群馬県から来た少女』

>「群馬県から来た少女」コヨトルが、物語の主人公・羽柴(はしば)グンの通う東京の学園に転校してきた。 >その目的は、世間に「田舎だ」「秘境だ」と言われ続けている群馬県による世界支配だという。誰もが絶対無理だと思うのだが、コヨトルは故郷群馬のため…

北原尚彦『SF奇書コレクション』

昨日、著者の北原尚彦氏から献本が届いた。 http://www.webmysteries.jp/sf/kitahara1312.html 以前に出た『SF奇書天外』の続編で、古今東西の様々なSF関係の珍本・奇本を紹介した本。『Webミステリーズ!』連載時から読んでたけど、このたび加筆修正の…

中野と神田で古本買いまくり(後編)

●R・リンドナー『宇宙を駆ける男』(金沢文庫・1974) 前に図書館で借りて読んだんだけど、ぜひ手に入れたくて30年以上探していた。ようやく入手できて感激。 精神分析医が自分の扱った患者のことを描いたノンフィクションなんだけど、何と言っても表題であ…

中野と神田で古本買いまくり(前編)

中野ブロードウェイは十数年ぶりに行った。 ここはやばい。ビルの半分ぐらいが「まんだらけ」だ。前に来た時はまだごく一部だったのに、今ではものすごく侵食して、全体がオタクビルと化している。古本、おもちゃ、ビデオ、ゲーム、コスチュームと、ありとあ…

『〈ウィアード・テールズ〉戦前翻訳傑作選 怪樹の腕』

会津信吾・藤元直樹編 『〈ウィアード・テールズ〉戦前翻訳傑作選 怪樹の腕』(東京創元社) アメリカの有名な怪奇小説誌〈ウィアード・テールズ〉に掲載された作品が、実は戦前の日本でもたくさん訳されていた。〈新青年〉〈少年少女譚海〉〈文藝倶楽部〉な…

東郷隆『定吉七番の復活』

1980年代、大阪商工議所秘密会所の殺人丁稚・定吉七番は、スイスのユングフラウで秘密結社NATTOの重要人物を追跡中、氷河に落ちて氷漬けになった。 時は流れて現代。仮死状態から解凍された定吉は、時代の変化にとまどいながらも商工会議所に復帰。NATTOの残…

東野圭吾『歪笑小説』

東野圭吾『歪笑小説』(集英社文庫) いやー、東野さん、ここまで書いちゃっていいんですか(笑)。 以前から「超長編小説殺人事件」「超税金対策殺人事件」など、小説の世界を題材にした短編をいろいろ書いてきた東野さん、今回の本も小説界を舞台にしたユ…

野尻抱介『南極点のピアピア動画』(ハヤカワ文庫)

ボーカロイド「小隅レイ」と動画投稿サイト「ピアピア動画」の登場するSF連作集。『SFマガジン』に発表された3編に、書き下ろしの「星間文明とピアピア動画」を加えた4編。ちなみに表紙イラストはKEI氏。 株式会社ドワンゴの代表取締役の川上量生氏…

『突然、僕は殺人犯にされた』

スマイリー・キクチ『突然、僕は殺人犯にされた』(竹書房) ネット上で殺人犯の汚名を着せられた、お笑いタレントのスマイリー・キクチこと菊池聡。その10年に及ぶ苦闘の記録である。 僕もネット上で中傷されたことがあるが、菊池氏の受けた苦しみは僕のそ…

『最終兵器の夢』

H・ブルース・フランクリン『最終兵器の夢』(岩波書店) 副題は〈「平和のための戦争」とアメリカSFの想像力〉。アメリカの核兵器開発や戦争の歴史と、戦争SFの歴史を並行して語り、それらが互いにどのような影響を及ぼしあってきたかを論じた本。 ク…

『冷たい方程式』

トム・ゴドウィン他『冷たい方程式』(ハヤカワ文庫) SFアンソロジー。以前にもハヤカワ文庫で同じタイトルのアンソロジーが出ていたが、今回は前のものとは二編しか重複していない。 オビには「初心者に最適なSF入門書」とあるが、まさにその通りで、…

『万里の長城は月から見えるの?』

今年が終わる前に、ここ一か月のほどの間に読んだ面白い本をまとめてご紹介したいと思います。 武田雅哉『万里の長城は月から見えるの?』(講談社) 「万里の長城は月から見える唯一の人工物である」 もちろん間違いである。万里の長城は全長は長くても、幅…